未来の食のイノベーションハブを目指すカタルーニャ州、政府が代替プロテインに関するレポートを発行
カタルーニャ州政府貿易投資事務所(ACCIÓ)が、同州の代替プロテイン分野に関する最新レポートを発行しました。
スペインの代替プロテイン産業が拡大する中、イノベーションの中心地となるべく、さらなる外国投資の呼び込みを狙っています。
企業数、売り上げの大幅な増加を予測
レポートによると、カタルーニャ州で代替プロテインを手掛ける企業は103社(植物性食品ラインを持つ食肉・乳製品企業なども含む)あり、916人が雇用され、合計で2億6,900万ユーロ(約438億円)の収益を上げていることが明らかになっています。
著者らは、足元の停滞にもかかわらず、持続的な消費者需要、新興市場の成長、革新的な製品の開発により、植物性食品セクターの見通しは依然として明るいと指摘。
2023年、EUにおける植物性代替肉の売り上げは約19億6,000万ドル(約2,880億円)でしたが、この金額は2028年までに30億ドル(約4,420億円)を超えると予想しています。
多様なエコシステム、政府支援も充実
カタルーニャのエコシステムを構成しているのは企業にとどまらず、各種の業界団体、技術移転プラットフォーム、インキュベーターなどが多く存在。
また、大学や研究センター、代替プロテイン分野に焦点を当てたAlimentariaやBioCulturaなどのトレードフェアも、エコシステムの重要な一部となっています。
成長の可能性を感じさせる同分野ヘは政府の関心も高く、カタルーニャ州は700万ユーロ(約11億4,000万円)を投資して、スペイン初の代替プロテインセンター(Center for Innovation in Alternative Proteins:CiPA)を立ち上げました。
レポートによるとこの分野は「明らかな拡大期」にあり、36.9%の企業が設立10年未満。68%が中小企業、10.7%がスタートアップ企業のカテゴリーに当てはまります。
これらのうち70%近くが国外への輸出を手掛け、定期的に輸出を行う企業は半数以上。
代表的な企業には、植物性代替肉メーカーのHeura FoodsやNovameat、ヴィーガンチーズを手掛けるVäcka、発酵分野のLibre Foods、Real Deal Milk、代替脂肪を開発するCUBIQ FOODSなどがあります。
外国企業からの直接投資を狙う
スペインの人口の16%が居住し、同国GDPの20%を占めるカタルーニャは、産官学連携でビジネスを支援する環境が整っており、特定の分野に限らず大きな投資とイノベーションを引き寄せてきました。
ミールキットを手掛けるドイツのHelloFreshはバルセロナで事業を開始する準備を進めており、スウェーデンのMidsonaは植物性代替肉ブランド「Vegetalia」を買収。
米国のNatural Gourmet Foodsは、植物性代替肉専用の生産・流通施設を開設しました。
日本からも、大塚製薬が子会社ニュートリション エ サンテを通じて、健康・機能性食品でスペイン大手のBICENTURYを買収した例があります。
ACCIÓのレポートによると、代替プロテイン分野の103社のうち、14.6%は外国企業のカタルーニャ子会社。新たなレポートの発行は、さらなる外国からの直接投資を呼び込む狙いがあるようです。
参考記事:
Catalonia’s Alternative Protein Sector on the Rise with €269 Million in Revenue
Catalonia Eyes Foreign Interest in Report Promoting ‘Booming’ Alternative Protein Sector
Catalonia Makes Historic €7M Investment in Alt Proteins Research Center
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