カナダのNew School Foodsが約8.8億円の調達を実施、植物性ホールカットサーモンの新工場も開設

植物由来の代替サーモンを開発するカナダのNew School Foodsが、シードエクステンションラウンドで600万ドル(約8億7,700万円)の資金調達を行ったと発表しました。

Protein Industries Canadaが主導したシードラウンドを延長し、累計調達額は1,800万ドル(約26億3,000万円)に達しています。

植物性食品を推進するIKEAも投資


今回の調達では、新たにInter IKEA Group(スウェーデンの家具販売大手IKEAの持株会社)、Good Startup、NewTree Capital、Hatchといった世界的な企業からの投資を獲得。

中でも、食品だけで年間25億ドル(約3,660億円)の売上高を誇り、近年植物性食品の導入を増やしているIKEAの参加が大きなポイントとなりました。

同社は2025年までに、店舗併設のレストランで提供する主食の50%を植物性食品、80%を赤身肉以外のメニューとし、フードマーケットで販売する包装食品の80%を植物性食品にするという、野心的な目標を設定しています。

現在レストランで提供される料理の中では、スウェーデン風ミートボールに次いで、シーフードが2番目に大きいカテゴリーになっているとのこと。近い将来、New School FoodsのヴィーガンサーモンがIKEAのメニューに載ることになるかもしれません。

外部委託せず、自社で生産体制を構築


New School Foodsは資金調達に合わせて、トロントに28,000平方フィート(約2,600平方メートル)のパイロットプラントを開設しました。年内にも、米国とカナダのレストランで同社初の製品となる植物性サーモンフィレの発売を控えており、この分の生産を行う予定です。

新工場に設置された製造ラインでは、バイオポリマーゲルに指向性凍結技術を用いて、凍結源から遠ざかるように何千もの微細な氷の結晶を形成。氷を取り除いてできた空の溝を「足場」として、タンパク質、脂肪、香料などを充填することで筋繊維の構造を模倣します。

こうしてできた筋繊維はその後、結合組織の層で区切られたより大きな構造体に組み上げられ、ホールカットの完成品に。

既存技術の中で最も採用されているものの、高温下で製品の品質を損なうことが多いという押出成形に依存せず、低温ベースの技術で従来の魚の食感や口当たりの忠実な模倣を可能にしました。

製造工程でタンパク質に熱を通さないことで、最終製品がより生の魚に近く見え、調理過程での変化を再現できるほか、ゴムのような食感になることを防ぐ意味合いもあるといいます。

シェフとの協働による製品のバージョンアップ


New School Foodsは現在、製品の改良を目的としたパイロットプログラムにおいて、シェフとのコラボレーションに注力。シェフ、レストラン経営者、その他のフードサービスの専門家を製品開発とテストに招き、市場化に向けた取り組みを進めています。

創業者でCEOのChris Brysonによると、「米国で購入される魚介類の70%は、家庭向けの小売製品ではなく、レストランからの注文によるもの」。このため、同社は市場参入のポイントとして、常にシェフをターゲットに据えてきました。

毎週のように行われる新バージョンの製品開発において、「専門家から優れたフィードバックを得ることは非常に重要」だとしています。

参考記事:
Brief: Plant-based seafood co New School Foods lands additional funding from IKEA & others ahead of commercial launch
New School Foods Nets $6M in Funding, Opens New Factory for Vegan Whole-Cut Salmon

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