ベゾス・アース・ファンドが、シンガポール国立大学に3カ所目の代替プロテインセンターを開設

アマゾン創業者のジェフ・ベゾスが100億ドル(約1兆4,200億円)の資金を拠出して2020年に設立したベゾス・アース・ファンド(Bezos Earth Fund)が、シンガポール国立大学(以下、NUS)に代替プロテインセンターを開設しました。

構想発表から半年で3カ所目の設置


ベゾス・アース・ファンドは、「食料システムの変革」に10億ドル(約1,420億円)を投じるとしたコミットメントの一環として、今年3月に代替プロテインのセンター設立に投資する構想を発表

1億ドル(約142億円)を代替プロテインに割り当て、米国のノースカロライナ州立大学、英国のインペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)に立て続けにセンターを設立しました。

3カ所目となるセンターは、代替プロテインの分野で「絶対的な強国」となっているシンガポールに設置。代替プロテインに関するダイナミックな技術革新のエコシステムがあり、他国に先駆けて培養肉に対する規制枠組みを確立した同国で、持続可能なソリューションの展開を進めます。

微細藻類とバイオマス発酵にフォーカス


先行する2つのケースと同様に3,000万ドル(約42億7,000万円)を拠出して新設されたセンターでは、NUSのほか、南洋理工大学、シンガポール工科大学、チューリッヒ工科大学(ETH Zurich)などに所属する23名の主任研究員が活動を主導。

培養肉や植物性食品の研究とともに、主に微細藻類バイオマス発酵に焦点を当て、味と価格の両面で従来の食肉に対抗できるハイブリッド肉製品の生産を包括的な目標に定めています。

ベゾス・アース・ファンドのAndy Jarvisによると、これまで設立された3つのセンターは互いに補完し合う存在を目指しているとのこと。

ノースカロライナ州立大学はバイオものづくりに、ICLは英国政府が推し進める工学生物学(engineering biology)に焦点を当てており、バイオマス発酵とハイブリッド製品の開発に重点を置いたNUSは、代替プロテインの技術をより発展させるパズルを完成させるものだといいます。

アジアの食料供給を変革する機会に


Jarvisによると、バイオマス発酵に特に注目する理由は、食品産業の副産物をアップサイクルして活用するケースが多く、効率性に優れた循環型システムを構築できるため。

この一例としてNUSのセンターでは、豆腐製造から出る大豆ホエイを藻類に餌として与え、高品質のタンパク質を生産する研究を行っています。

こうした研究から得られる知見をオープンアクセスにすることで民間企業に活用を促し、開発と製品化を支援する目的。アジアにおける同大学の地位を活用してイノベーションとコラボレーションを促進し、消費者と産業界の双方にとって推進力となることが期待されています。

センターのビジョン策定を主導したGFI APACの代表を務めるMirte Goskerは、アジアにおける大規模な変革の可能性を強調。「世界で最も人口の多い大陸で食肉需要が急増しているアジアでは、食料供給を変革する機会がかつてないほど大きくなっている」と話しています。

参考記事:
Bezos Centre for Sustainable Protein opens at the National University of Singapore
Bezos Earth Fund Establishes Sustainable Protein Research Hub at National University of Singapore
Bezos Earth Funds Opens Third Alternative Protein Centre at National University of Singapore

関連記事

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。