イタリアの老舗食肉メーカーGruppo Tonazzo、創業136年目で食肉事業を捨て植物性食品に全面移行

5世代にわたって家族経営を続けてきたイタリアの老舗食肉メーカーGruppo Tonazzoが、今年末をもって食肉事業を停止すると発表しました。

今後は植物性タンパク質のみに注力し、収益の柱に育ててきた植物性食品ブランド「Kioene」の拡大に注力します。

創業136年目の大転換


Gruppo Tonazzoは1888年、ヴェネツィア近郊で牛肉専門店として創業。植物性食品の新たなトレンドに着目し、1990年に「Kioene」ブランド(2013年以前は「BIO-ENE」の名称で展開)を市場に投入しました。

現在では100以上のSKUを抱えるこのブランドは、2桁台の年成長率を維持し、2023年の売上高は約5,200万ユーロ(約83億6,000万円)に到達。連結売上高の6割超を稼ぎ出すまでになり、事業の柱に成長しています。

Kioeneの製品ポートフォリオには、ブロッコリー、ニンジン、ホウレンソウ、マッシュルームなど、豆類以外の野菜を主原料とした植物性の冷凍・生鮮食品が多く含まれているのが特徴です。

イタリアでは230万世帯(全体の約1割)に購入されているほか、世界的な人気も獲得。ヴィーガン製品やレストランの検索が行えるプラットフォームのabillionで昨年実施された投票企画では、Kioeneのひよこ豆ベースのハンバーガーが「世界で最も美味しい植物性ハンバーガー」の第6位に選ばれました。

イタリアでは代替肉の消費拡大が顕著


ヴェネツィア近郊に位置するGruppo Tonazzoの食肉生産施設は、創業136年目にして、高品質な野菜と豆類をベースにした食品の生産に完全移行。食肉部門に携わっていた従業員の雇用は保ったまま、事業の転換が行われることとなりました。

この戦略的決定は、食肉がもたらす環境影響に対処し、次世代のために健康的な食生活を促進するという長期的なビジョンを反映したものだといいます。

昨年欧州で行われた調査では、イタリア人消費者の59%が肉の消費量を積極的に減らそうとしており、周辺諸国に比べて一段と高い割合となっていました。

肉を減らす主な理由には、健康への懸念(54%)、抗生物質の使用(17%)、環境影響(16%)などが挙げられています。

この結果、GFI Europeによると昨年同国における代替肉製品の小売売上高は13%増加し、2億ユーロ(約322億円)に近づいているとのこと。ヴィーガン食品の中では、代替肉はチーズに次いで2番目に急成長しているカテゴリーとなっています。

参考記事:
Gruppo Tonazzo Shuts Down Meat Business to Focus on Plant Proteins: “We Feel a Deep Responsibility to Future Generations”
Tonazzo exits meat industry to focus on plant-based proteins – Italianfood.net
After 136 Years, Italy’s Gruppo Tonazzo is Ditching Meat for Plant-Based

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