米The EVERY Company、精密発酵技術を用いたオボアルブミンの欧州特許を取得

発酵ベースのタンパク質原料に特化した米国のバイオテクノロジー企業The EVERY Companyが、精密発酵オボアルブミンに関する欧州特許の取得を発表しました。

米国・EUの主要市場で知財を確立


欧州特許第4017287号は、食品に使用する組み換えオボアルブミンを含む組成物を保護するもの。卵白に含まれる主要タンパク質のオボアルブミンは、起泡性、結合性、ゲル化性、そして栄養価の高さから、食品用途において重要な役割を果たす成分です。

この進展により、The EVERY CompanyのIP(知的財産)ポートフォリオは、米国、フィンランド、ドイツ、デンマーク、英国、メキシコにおける既存の特許を補完する重要な新市場へと拡大しました。

世界の主要市場で特許取得に成功していることは、競争の激しい代替プロテイン分野において大きな優位性をもたらすものです。

2014年に同社を共同で創業しCEOを務めるArturo Elizondoは、「生物学的に同一の卵タンパク質に関して、当社の知財は最も大きな先行者利益を維持することができており、最低でも競合他社の7年以上先を行っている」と主張。

「発酵を利用した卵タンパク質の生産に着目した初の企業として、組み換えオボアルブミンの初めての市場投入を実現させたい」と述べています。

規制当局の認可を得て市場化へ


The EVERY Companyは、主にKomagataella phaffii(別名、Pichia pastoris)と呼ばれる酵母菌に遺伝子組み換えを施し卵白タンパク質を生産してきましたが、特許の中ではトリコデルマ属、サッカロミケス属、アスペルギルス属なども含む複数の宿主を利用した生産方法がカバーされています。

製品用途としては、ベーカリー製品、食肉および代替肉、調理済み卵および液卵、ホイップクリーム、メレンゲなど、さまざまな用途における使用を規定。

液体・粉末の両形態において、硬さ、凝集性、弾力性、泡立てた際の安定性など、卵が食品に付与する多くの機能的特性にも触れられているといいます。

特許を取得したものの、同社の製品はEUにおいてまだ規制当局の承認を得てはいません(認可申請は実施済み)。現在は、英ユニリーバの子会社The Vegetarian Butcherなど、大手食品会社との提携を通じて拡大を続けている最中。

一方、米国ではすでにGRAS(一般に安全と認められる)ステータスを取得しており、販売が可能となっています。2023年末には、精密発酵により作られた世界初の液卵「EVERY Egg」を発表し、ニューヨークの植物性食品を扱うレストランで一夜限りのディナーとして初披露されました。

参考記事:
EU grants patent for EVERY’s recombinant ovalbumin ingredient | The Cell Base
European Union Approves Patent for EVERY’s Precision-Fermented Egg White Protein

関連記事

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。