シンガポールのPreferが、代替コーヒーに続いてカカオフリーのチョコレートを開発
コーヒー豆を必要としない持続可能な代替品、ビーンレスコーヒーの開発を進めてきたシンガポールのフードテック企業Preferが、新たにカカオフリーのチョコレートを製品ポートフォリオに加えたと発表しました。
コーヒー以上に環境影響の大きいチョコレート
昨年、廃棄予定だったパン、おから、醸造後のビール粕などを再利用したビーンレスコーヒーの市場投入で注目を集めたPrefer。発売以来、売り切れが続出するほどの人気で、すでに外食サービス分野で50社以上の顧客を獲得しているといいます。
そんな中、共同創業者でCEOのJake Berberが、目下カカオフリーチョコレートの試作品を開発中と明かしました。詳細は伏せられていますが、ビーンレスコーヒーのイノベーションを推進したのと同じ理由から、カカオ産業への進出を決断したといいます。
コーヒーは栽培・生産に伴うCO₂排出が多い食品とされていますが、それ以上に環境影響の大きい食品の一つがチョコレートです*。
天候不順による供給不足でカカオ豆の価格が高騰(3〜4倍に高騰し、史上最高値を記録)したことも相まって、代替肉開発と同様のさまざまな手法を用いて、カカオ産業の変革に取り組むスタートアップ企業が増加してきました。
中には、バイオリアクターでカカオ細胞を培養して生物学的に同一の製品を作るCelleste Bioのような企業もありますが、Preferのチョコレートはカカオフリーのカテゴリーに属するもの。
このカテゴリーにはVoyage Foods(ビーンレスコーヒーも展開)、Planet A Foods、Foreverlandなどがおり、大型の資金調達や大企業との提携が成功しているところを見ると、最も注目を集めている手法だといえるでしょう。
2025年は新施設の完成と出荷を予定
CEOのBerberはまだ代替チョコレートの製造方法を公表していませんが、ビーンレスコーヒーと同じ設備と技術を使っているとのこと。このプロセスでは、地元企業から調達した上述の副産物を微生物に与えて発酵させ、コーヒーと同じ香りを持った揮発性物質に変換しています。
カカオフリーのチョコレートは、基本的に食品メーカーに対してB2Bで原料供給される予定ですが、今年はシンガポールでB2Cのポップアップイベントも実施する予定です。
消費者はカカオフリーのチョコレートに関心を示すかと聞かれ、Berberは「味と価格がこの製品を左右する2つの要素だと考えている」とコメント。「手頃な価格帯の美味しい製品というのが最も重要であることは、調査によって明らかになっている」と語っています。
Berberはこの点を同社のUSPと見ており、「当社独自の発酵技術を活用することで、パートナー企業のチョコレート製品の風味を維持しながら、従来を大幅に下回る価格を実現することを目指している」としています。
同社は現在、Nurasaが昨年オープンしたFood Tech Innovation Centreにあるラボで研究開発を実施。より大規模な生産施設の設置も計画通りに進んでいる様子で、第1四半期には最初の製品出荷を行う予定です。
参考記事:
After Coffee, This Singapore Startup Is Making A Green Alternative to Another Bean: Cocoa
Cocoa tops global commodities rally for 2nd year, steel ingredients struggle on China demand | Reuters
Devon bakery owner says price of chocolate is through the roof
* Food product supply chain GHG emissions globally | Statista
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