米ロサンゼルス郡、排出量削減と公衆衛生の向上のため植物性食品の調達を拡大

米国ロサンゼルス郡管理委員会(County of Los Angeles Board of Supervisors)が今月7日、温室効果ガス排出量の削減と公衆衛生の向上を目指し、郡の各部局で植物性食品の調達を増やす内容の動議を承認しました。

植物性食品を動物性食品の2倍に


委員会は、昨年2月に提出され承認された動議に基づき、新たな動議を全会一致で採択。郡の施設における食品プログラムの具体的な目標と施策を導入しました。

ロサンゼルス郡公衆衛生局(DPH)の更新されたガイドラインでは、郡のフードサービスに対して、植物性食品と動物性食品の比率を2対1とするよう推奨。さらに、すべての郡の食品プログラムに、毎日ヴィーガン食と植物由来の代替乳製品を提供することを奨励しています。

また、地元の生産者を支援しサプライチェーンの排出量を削減するため、地域内での調達が優先されるとのこと。

「地域最大の雇用者として、郡の施設が環境に良い影響を与えるようにする責任がある」と、動議を提出した委員の一人Lindsey Horvathは述べました。

郡は進捗状況をモニターするため、植物性食品と動物性食品の調達状況を詳細に記した年次レポートを発行し、排出削減量を測定する計画。また、食の選択が環境や社会に与える影響についての認識を高める教育キャンペーンも開始が予定されています。

環境と公衆衛生、両方の優先課題に取り組む


DPHが公表した食品調達に関するデータによると、LA総合医療センターでは年間234,000ポンド(約106トン)の食肉を購入していますが、植物性代替肉はわずか7,822ポンド(約3.5トン)

同様に、43,000ガロン(約16万リットル)超の牛乳を調達している一方、植物性ミルクはわずか5,000ガロン(約23,000リットル)にとどまっており、新基準を満たすためには大幅な調整が必要な状況です。

植物性食品にかかるコストの高さ、味、文化的配慮、食生活の変化に対する抵抗感など、移行に向けてDPHが挙げている障害のほか、既存の業者との契約の問題も存在しますが、郡は地元の生産者や業者と協力してこれを解決したい考え。

植物性食品は排出量を動物性食品の半分に抑えられ、心臓病や糖尿病といった慢性疾患のリスク軽減にもつながることから、食品調達方法を転換することで環境と公衆衛生の両方の優先課題に取り組むことを目指しています。

同様の取り組みはロサンゼルス以外でも行われており、首都ワシントンD.C.は、2030年までに食品関連の排出量を25%削減することを誓約。

国際的なレベルでは、世界資源研究所(WRI)の気候変動緩和イニシアチブ「Coolfood Pledge」のようなプログラムが、食品調達による環境への影響を削減するためのツールを提供しています。

参考記事:
LA County Expands Plant-Based Food Procurement to Cut Emissions
Moving to plant-based foods: LA County expanding program to cut down on emissions | LAist

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