Melt&Marbleが精密発酵脂肪を組み込んだ植物性食品の開発に向け、フィンランドの食品大手Valioと提携
精密発酵により脂肪成分を生産するスウェーデン企業のMelt&Marbleが、同社製品を用いた植物性食品を開発するため、フィンランドの大手食品会社Valioとの提携を発表しました。
口当たりを改善する持続可能な代替脂肪
両社の長期にわたる共同研究では、Melt&Marbleが生産する新しいタイプの脂肪の特性を研究した後、その脂肪を含み口当たりやジューシーさを改善した植物性食品の商品化を目指します。
Valioの製品開発責任者を務めるSaara Pöyriによると、すでに同社の製品に脂肪を組み込むテストを行い、良好な結果が得られたとのこと。
「私たちは革新的な姿勢と、より良く美味しい製品を開発したいという思いを共有している。Melt&Marbleの最先端技術を活用することで、植物由来製品の官能特性と栄養価を新たなレベルに引き上げたい」とコメントしました。
Melt&MarbleのCEOを務めるAnastasia Krivoruchkoは、「Valioのような企業との提携は、高品質で持続可能な代替脂肪を提供して食品システムに革命を起こすという、当社の使命における重要な前進だ。地元で生産を完結させることで、食料安全保障と自給率の向上というメリットも得られる」と述べています。
精密発酵脂肪をEU市場で販売するには新規食品(Novel Food)の認可を得る必要がありますが、これまでに精密発酵原料が認可された例はなく、スーパーマーケットの棚に並ぶまでには数年かかる見込み。
同社は並行して、米国での市販化に必要なGRAS(Generally Recognized As Safe)ステータスを取得する予定で、こちらは年内に商品化が実現する可能性もあるとしています。
デモ生産を成功させ、商業生産のステップへ
Melt&Marbleは昨年、研究開発および生産能力を拡大した新本社への移転を完了。7月には、欧州イノベーション会議(EIC)のアクセラレータープログラムで276万ユーロ(約4億4,400万円)を獲得しました。
その後、1万リットルを超える規模のデモ生産という、商業生産に向けた重要なマイルストーンを達成しており、プラットフォームの拡張性と堅牢性を実証することに成功しています。
同社はまた、欧州の研究機関や企業が集まり昨年末に発足した、植物由来の代替乳製品を革新する「DELICIOUS」プロジェクトにも参画。
この取り組みには4年間で500万ユーロ(約8億円)の予算が確保されており、機械学習などを活用した新技術の開発により、植物由来製品の魅力を高めると同時に、従来の乳製品の製造工程と比較して環境への影響を最大30%削減する狙いです。
参考記事:
Melt&Marble partners with Valio to commercialize “yeast rewiring” tech for sustainable fats
Melt&Marble Partners With Valio to Develop Plant-Based Foods Containing Fermented Fats
Valio teams up with precision fermentation start-up Melt&Marble to create ‘next-gen’ food products | FoodBev Media
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