BLUU Seafoodとスパイス大手VAN HEESが提携、植物由来原料と培養魚のハイブリッド製品開発へ

培養魚の開発で欧州をリードするドイツのフードテック企業BLUU Seafoodが、食品業界で80年近い歴史を持つスパイスメーカーVAN HEESとの戦略的提携を締結したと発表しました。

食感や風味、保存性を高める専門知識を活用


VAN HEESは、食肉からヴィーガン製品まで、さまざまな食品分野向けの香料、スパイスミックス、機能性添加物の開発に長年携わり、80カ国以上で事業を展開してきました。

両社の提携では、VAN HEESの機能性素材と調味料技術に関する専門知識と、BLUU Seafoodの画期的な細胞培養プラットフォームを組み合わせて、植物由来の原料と培養魚細胞を融合したハイブリッド製品の開発に注力します。

ハイブリッド肉は、コストとスケールアップの壁に直面する培養肉を商業化する現実的な方法として注目を集めており、これまで市場に投入された製品のほとんどは植物由来の原料と混合され、培養細胞は一部しか含まれていません。

先月米国での販売認可を得て、培養シーフードの市場投入に初めて成功したWildtypeが採用しているアプローチもこれと同じ。同社のサーモンは、オレゴン州ポートランドのレストラン「Kann」で提供が始まっています。

提携におけるVAN HEESの役割は、食品の安全性、食感、風味の最適化に関する専門知識を生かして、全体的な製品品質の向上を図ること。風味技術分野での経験豊富なAromatechとの長年のパートナーシップを活用し、保有している「Food.PreTECT」センターを利用して製品の安定性と保存性を高める狙いです。

VAN HEES Groupの代表を務めるRobert Bechtは、「当社は持続可能なタンパク源としての培養魚に大きな可能性を見出している。このパートナーシップにより、イノベーション力をもって先駆的な分野に貢献を果たし、食品システムの変革に積極的に参加したい」と述べました。

複数市場での認可取得を狙う


BLUU Seafoodは、培養魚の商業生産に特化した欧州初の企業として、2020年に設立されました。サーモンとニジマスの培養に注力しており、昨年ハンブルクに欧州初の培養シーフード専用プラントを開設65リットルのバイオリアクターを設置し、年内に2,000リットルでのフル稼働を計画しています。

製品開発では、フィッシュフィンガー(白身魚のフライ)とフィッシュボールの試作品を開発中。共同創業者でCEOのSebastian Rakersは以前、「拡張性と市場条件が整えば、最短で3年後には魚の卸売価格と同じ価格で培養魚を提供できるようになるだろう」と語っていました。

目下、シンガポールと米国で規制当局の承認取得に取り組んでいますが、当初予定していたスケジュールは複数回延期されています。また、拠点を構える欧州においても、「27の加盟国を抱えるEUでは規制プロセスがはるかに複雑なため、まずはEU圏外の英国やスイスに焦点を当てることになるだろう」とRakersは話しています。

ほかの培養肉企業同様、同社はまず外食産業向けに展開する計画。「市場に参入した当初は、非常に限られた数の製品しか用意できない。そのため、ポジショニング戦略を慎重に検討し、まずは有名レストランやシェフ、インフルエンサーと独占的な提携を行いたい」とRakersは説明。小売りパートナーとの協働による展開はその後としています。

参考記事:
VAN HEES and BLUU Seafood Partner to Develop Hybrid Cultured Fish Products
Germany’s Bluu Seafood Hooks Deal with Spice Major Van Hees to Develop Cultivated Fish Products

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