ドイツ小売りREWE Group、2035年までに植物性タンパク質の売り上げを60%に引き上げる目標を設定

ドイツの小売り大手REWE Groupが、売り上げに占めるタンパク質ごとの構成比を定めた新たな戦略文書(ポジションペーパー)を発表。2035年までに売り上げの60%を植物由来の製品とする目標を掲げました。
同時に、国の食料政策に対する6つの要求を提示し、国家タンパク質計画の策定を呼びかけています。
4つの柱で構成されるタンパク質戦略
ドイツ国内の約6,000店舗に加え、オーストリアのBILLAなど傘下の3,500店舗を展開するREWE Groupは、昨年4月に100%ヴィーガン食品を揃えたスーパーマーケットをオープン。2024年の売上高(飲料を除く)の54%をヴィーガン製品が占めると発表しています。
この分析は、世界自然保護基金(WWF)が昨年開発した小売業者向けの方法論に基づいており、同社は業界全体に同じ手法を採用するよう呼びかけ。また、自社の新たな目標として、2035年までにこの割合を60%にまで高めると宣言しました。
新しいタンパク質戦略には大きく4つの柱があり、その1つ目は、美味しさと種類の豊富さに重点を置き、製法および原材料をヴィーガン対応とするための製品群の最適化。
2つ目は、新製品や新技術でイノベーションを推進するフードテック界のスタートアップ企業を支援し、未来の食のエコシステム構築に寄与すること。
3つ目は、消費者の食生活への意識を高めるよう促し、明確なラベル表示、ターゲットを絞った提案、魅力的な製品群によって、持続可能な食生活をより身近なものにすること。
そして最後の柱として、国内農業セクターの競争力を強化し、国の気候変動目標に資することを目的とした、国家タンパク質戦略の策定を提唱しました。これには、植物性タンパク質と動物性タンパク質の売り上げ比率を追跡するための業界標準の制定も含まれています。
政策立案者に投げかける6つの要求事項
REWE Groupは、「ドイツは競争力があり、レジリエントで、持続可能な農業・食料システムのパイオニアとして自国を位置付けることができる」と主張。タンパク質の多様化は、健康的で持続可能な食生活を確立するための重要な手段であり、代替プロテインの需要と供給を「大幅に拡大」する必要があると述べました。
しかしながら、真の食生活の転換は、政策レベルではいまだ十分に追求されているとはいえないと同社は指摘。連邦および州の政策立案者に対して、以下6つの要求事項を提示し、国家としてのタンパク質ロードマップを策定するよう求めています。
- 投資家と消費者からの信頼を高める、透明で簡素化された(培養肉と精密発酵製品の)規制プロセス。
- 代替プロテインとフードテックを中心とした、研究開発への投資の拡大。
- 精密発酵などの新技術を試験する研究所へのアクセス拡大と、ガイドラインの充実。
- 植物性ミルクに対してのみ課せられている付加価値税(19%)の廃止。
- 植物性タンパク質の国内生産に対する、ターゲットを絞った強力な支援。
- 新技術とイノベーションに優しい環境を促進する、科学に基づいた意思決定。
ドイツ政府は昨年、代替プロテインの推進を目的とした「Proteins of the Future on the Plate」フォーラムを立ち上げました。REWE Groupは、政策立案者たちにこのフォーラムを土台とするよう提言しています。
他国の例を挙げると、デンマークが2023年に初めて植物性食品への移行を目指す戦略を導入して、具体的な行動計画を策定。その直後に韓国が続き、昨年末にはポルトガルも同様の計画を立案することを約束しました。
「より気候や資源に優しい食料生産のためには、全体的な政治的枠組みも変わらなければならない。より断固として追い求めるべき側面はあるが、政策立案者がこの問題の重要性を認識したのは歓迎すべき出来事だ」とREWE Groupはコメントしています。
参考記事:
Rewe Group Publishes Position Paper on Protein Strategy
Germany’s Rewe Group Targets 60% Plant-Based Sales By 2035, Calls for National Protein Plan
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