英THE PACK、MicroHarvestの微生物タンパク質を使用した腸に優しいドッグフードを発売

植物由来でアレルギー対応のペットフードで知られる英国のブランドTHE PACKが、ドイツのバイオテクノロジー企業MicroHarvestの微生物タンパク質を使用した犬用スナックを発売しました。

偏食やアレルギーなどの問題に対処


新製品の「Gut Bites」は、ソラマメやヒヨコ豆パウダー、果物・野菜(サツマイモ、イチゴ、リンゴなど)のほか、主成分として「MPX Care」を10%含有。

MicroHarvestが独自に開発したこの微生物タンパク質は、農地や農薬・肥料を必要とせず、タンパク質生産に伴うカーボンフットプリントを大幅に削減(牛肉の10%未満)でき、植物性タンパク質よりも持続可能性が高いとされています。

生産プロセスでは、キムチやケフィアに存在する細菌と同じ微生物に農業廃棄物を与えて培養し、わずか24時間でタンパク質原料へと変換。60%以上の完全タンパク質を含み、うま味成分がペットフードに配合した際の嗜好性を高めます。

微生物タンパク質を含有したドッグフードが市販されるのは、英国では初。ブランドの公式サイトで、1パック3.95ポンド(約790円)で販売中です。

THE PACKの共同創業者で、今年ブランドを買収して運営会社となったPrefera Pet Food UKの代表取締役を務めるDamien Clarksonは、「愛犬家のコミュニティから、偏食やアレルギー、胃腸が弱いペットに悩む声が多く寄せられている。新製品はこれらに対応したもので、美味しくて機能性があり、アレルギー対応も実現した」とコメント。

今回の提携については、「当社は常に次世代素材の導入に積極的だが、MicroHarvestの微生物タンパク質は特にゲームチェンジャーとして際立っていた」と述べています。

嗜好性に優れ、環境面でのメリットも


MicroHarvestが先日実施した嗜好性試験では、猫と犬の両方が同社の微生物タンパク質「MPX」を対照食品よりも好むことが判明しました。市販の配合飼料に対し、猫では68%、選り好みが激しい小型犬でも58%が一貫して「MPX」を選択しています。

また、オランダのワーゲニンゲン大学と共同で2024年に行われた消費者調査ではペットオーナーからの好意的な反応も得られ、英国とドイツで犬を飼う人の78.4%が微生物タンパク質のみを使用したドッグフードの購入を検討すると回答しました。

ポイントとなるのは、環境面でのメリットの大きさ。最新の研究では、従来のペットフードの多くが副産物を使用して作られているという事実を考慮しても、ヴィーガンペットフードは犬猫の気候フットプリント対策として最も効果が高いと示されています。

MicroHarvestはドイツですでに市販化を実現させており、VEGDOGとの協働による「Pure Bites」で欧州初の事例を作った実績があります。

CEOのKatelijne Bekersによると、英国の世帯の36%が犬を飼っている上、犬猫用フードの市場は年間39億ポンド(約7,850億円)に達する勢いで、「この市場への参入は当社の拡大戦略における重要な一歩となる」と強調。

英国獣医師会(BVA)が植物由来のドッグフードに対する長年の反対姿勢を撤回したことや、ペット用培養肉の販売が世界で初めて認められたこともあり、気候に配慮したペットフードの台頭に期待がかかります。

参考記事:
UK Launches First Dog Treat Made with Sustainable Microbial Protein
Gut-Friendly Pet Food: The Pack & MicroHarvest Unveil Microbial Protein Dog Treats
THE PACK, MicroHarvest debut microbial protein-based dog treat | Pet Food Processing
UK pet market gets first microbial protein dog treats with launch of Gut Bites | New Tech Foods

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