デンマークのMATR Foods、菌糸体を用いたクリーンラベル代替肉の拡大に向け約70億円を調達

デンマーク発の植物性代替肉メーカーMATR Foodsが、シリーズAラウンドで4,000万ユーロ(約70億4,000万円)の資金調達を完了したと発表しました。

国内のフードテック企業で最大規模の調達に


MATR Foodsは昨年7月の調達に続き、株式で2,000万ユーロ、欧州投資銀行(EIB)からのベンチャーデット* で同額の計4,000万ユーロを確保。

既存投資家のNovo Holdings(製薬大手ノボ ノルディスクの親会社)と新規投資家のデンマーク輸出投資基金(EIFO)が共同でリードインベスターを務めたこのラウンドは、デンマークにおけるフードテック分野の企業の調達としては過去最大規模とされています。

MATR Foodsは調達資金を用いて、30トンのパイロットスケールから年間4,000トン規模へと独自の発酵プロセスの拡大を進めます。

現在コペンハーゲンに構える施設に加えて、2027年初頭までにデンマーク国内で新たな製造ラインを立ち上げる予定。60人ほどの新規雇用を創出し、隣国ドイツやスイスの顧客にも対応します。

* 新興企業や急成長中の企業に対して行われる融資の一形態。既存の株主資本を希薄化させることはないが、一般的に金利が高く返済期間が短い。融資判断にあたっては、事業の将来性が評価の対象となるケースが多い傾向にある。

毎月完売する好調な売れ行きを維持


MATR Foodsは、伝統的な固体発酵技術と、オーツ麦、スプリットピー(乾燥エンドウ豆)、ルパン豆、ビートの根、ジャガイモなどの地元産原料を用いた代替肉製品を開発してきました。

主力製品の「MATR Fungi Mince」は、スカンジナビアで栽培された天然原料のみを使用。アップサイクルしたこれらの野菜類を用いて菌糸体を育てると、菌糸が混合物中の栄養素を分解する過程で風味豊かなアミノ酸やデンプンが放出され、加熱時の褐変を促進。菌糸体はまた、すべての原料を結合させ、ジューシーな食感の形成にも寄与します。

製品はタンパク質と食物繊維を豊富に含み、肉と同等のアミノ酸組成を持つ一方、1kgあたりのカーボンフットプリントはCO₂換算でわずか1.6kgと、牛肉の6%程度にまで抑えられています。

添加物不使用のクリーンラベル製品でありながら、比類のないジューシーさと自然由来の深いうま味が人気となり、リピート購入につながっている様子。

共同創業者の一人でCEOのRandi Wahlstenによると、カテゴリー全体が縮小する中、毎月のように生産分が完売し、2024年と2025年も高い収益水準を維持できているとのことです。

Wahlstenは「今後12カ月は、ブランド、組織、顧客、生産のあらゆる側面において拡大とグローバル化の準備に注力する時期」と位置付け、商業能力の拡充に向けた意気込みを示しています。

参考記事:
Armed with $47m, MATR Foods to scale next generation of alt meat via solid-state fermentation
MATR Foods Raises €40M to Scale Production of Fermented Plant-Based Meat Alternatives
Fungi Funding: Matr Foods Bags $23M to Scale Up Clean-Label Mycelium Meat

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