フランス政府が食生活ガイドラインを改定、公衆衛生と地球環境の改善のため肉類の摂取制限を呼びかける

フランス政府が国民に向けた食生活ガイドラインの改定を行いました。公衆衛生と地球環境の改善に向け、肉類の消費を制限し、植物性タンパク質の摂取を増やすよう推奨しています。
数年間の延期を重ね、改定が実現
フランスの国家健康栄養プログラム(PNNS)に基づき改定された食生活ガイドラインは、2030年までに健康的な食生活の実現、食品に関連した排出量の削減、そして食料安全保障の強化を目指す政府目標を明記しています。
これに向けたフランス国民に対する主要な提言として、肉類(加工肉を含む)の消費を制限し、輸入肉の摂取を積極的に削減するよう呼びかけ。同時に、果物・野菜・全粒穀物を中心とした植物性タンパク質の割合を増やすことで補完するよう促しています。
この勧告は歓迎すべきものですが、改定版の公表を延期させた交渉の争点となっていた事項でした。当初は2023年に公表予定だったものの、主に肉類の摂取に関する推奨文言を巡る内部対立により、数度にわたる延期を経てようやく今回の公表に至っています。
患者会France Assos Santéの顧問を務めるStephanie Pierreは、AFP通信に対し「この計画が見送られるのではないかと本当に心配だった。公表されて安堵してはいるが、もっと野心的な計画を期待していた」と述べました。
とはいえ、フランスは世界でも最も強力な畜産ロビー団体を抱える国。過去には、植物性代替肉製品のラベル表示に対する禁止措置が導入されたり、学校などの集団給食施設における大豆製品の使用禁止令が出されたりといった動きもありました。
にもかかわらず植物性タンパク質に対する姿勢を変えることに成功したという点では、大きな進展といえます。
欧州で3番目に大きい植物性食品市場に
フランス政府は上記の提言の根拠として、農業が国内の温室効果ガス排出量の4分の1を占め、うち食肉生産が3分の2を占める現状を指摘しました。牛肉などの輸入タンパク質への依存は森林破壊の一因となり、国の食料主権を脅かしています。
環境大臣のMonique Barbutは、「より良い食生活とは、地球と私たちの健康のために行動し、質の高い農業を支援すること。持続可能な地元産の製品を選べば、カーボンフットプリントを削減し、生物多様性を守り、農家の仕事を尊重することができる」とコメントしています。
新たなガイドラインは、「食と栄養に関する他国の計画とも整合している」と政府は主張。実際、ここ数年でフィンランド、ノルウェー、ドイツ、オーストリア、オランダなどの各国政府も、より強力に肉類摂取量の削減を推進してきました。
一方、米国でも先月ガイドラインの改定が行われましたが、こちらは科学的知見を取り入れずに赤肉・獣脂・全脂肪乳製品の摂取を推奨していることで激しい批判を浴び、訂正を求める声が上がっています。
フランスの食肉消費量は過去20年間で着実に減少しており、ある調査では国民の53%が過去3年間に肉類の摂取量を減らしたと回答しています。一方で、植物性食品の売上高は2024年に9%増加し5億3,700万ユーロ(約977億円)に到達。欧州ではドイツと英国に次いで3番目に大きな市場となっています。
参考記事:
Le Gouvernement publie ce jour la Stratégie nationale pour l’alimentation, la nutrition et le climat : pour une alimentation saine et durable pour tous à horizon 2030 | Ministère de l’Agriculture, de l’Agro-alimentaire et de la Souveraineté alimentaire
France urges citizens to cut back on meat as new climate and nutrition strategy lands | PPTI News
After Years of Infighting, France Urges Its Citizens to Eat Less Meat
Eat less meat, France urges, for sake of health, climate


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