仏Verleyが精密発酵ホエイの米国展開に向け、約59億円の資金調達に成功

フランスの精密発酵スタートアップVerleyが、シリーズAラウンドで3,200万ユーロ(約59億円)の資金調達を完了させました。今年中に米国で、動物由来成分を使用しない機能性ホエイタンパク質の量産と商業化を目指しています。

2023年に続く資金調達に成功


数カ月前に米国食品医薬品局(FDA)の販売認可を取得したVerleyは、市場参入に向けた道筋で大きな飛躍を遂げました。

パリのベンチャーキャピタルファンドAlvenが主導した今回の資金調達ラウンドは、新規投資家としてBlastとフランスの国営投資銀行Bpifrance、既存投資家からSofinnova、Sparkfood、Captech、Founders Futureが参加し、前回と同様に応募額が募集額を上回る状態で終了しています。

Bpifranceからはさらに非希薄化資金による追加支援も受け、創業5年目を迎えたVerleyの総調達額は5,000万ユーロ(約92億1,000万円)を超えました。

同社は精密発酵ホエイの生産能力を拡大させ、今年中に米国におけるパートナー企業と共同での製品発売を目指します。

共同創業者でCEOのStéphane Mac Millanによると、最初の製品候補としては、高タンパク質でコンパクトな形態のもので、とりわけプロテイン飲料に焦点を当てているとのこと。

「このフォーマットで重要なのはホエイの量ではなく、その主要な機能性成分である高純度のβ-ラクトグロブリンだ。これにより透明性、溶解性、安定性を維持しながら、より高いタンパク質濃度を実現できる」と語っています。

ホエイタンパク質の供給不足は世界的問題に


β-ラクトグロブリンは必須アミノ酸をすべて含み、筋肉の合成や代謝シグナルの伝達に重要な役割を果たすロイシンを豊富に含有。健康長寿、女性の健康、GLP-1受容体作動薬の摂取に連動した栄養管理といった分野で注目を集めています。

また、ゲル化・起泡・乳化特性に優れ、さまざまな食品・飲料の口当たりや食感を向上させるのも、このタンパク質の特長です。

通常、β-ラクトグロブリンは牛乳を分画して得られますが、既存の抽出法は複数の分離・精製工程を要し、複雑で資源集約的。

この非効率性は、特に米国における最近のホエイタンパク質供給不足によって一層際立っています。サプライヤーは2026年分の供給契約をすでに締結済みといい、大量の納入を求める新規購入者にとっては実質的に入手が不可能な状況。

メーカーは欧州に目を向けるよう迫られていますが、それでも世界的な需要に対して供給量は限られており、価格は今後上昇する見込みです。

米国に次いで欧州と中東に目を向ける


Verleyの精密発酵技術では、微生物にDNA配列を導入し、発酵時に標的化合物(β-ラクトグロブリン)を生成させるように誘導。精製した後に構造と挙動を調整して、溶解性や耐熱性の向上などを実現します。

FermWhey」と呼ばれる同社の製品群は、従来のホエイに比べごくわずかな資源で生産でき、既存の食品バリューチェーンにもシームレスに組み込めるのが強みです。

生産に集中するためB2Bでの供給にのみ焦点を当て、消費者向けブランドの展開予定はありませんが、特に米国企業からは既存の生産能力を超える需要があるとのこと。

同時に欧州と中東における規制対応も進めており、タンパク質需要の増大と食料輸入への構造的依存を考慮した結果、特に中東を「戦略的地域」と位置付けています。

「中東の多くの国々は、長期的な多様化戦略の一環として食料安全保障、先進的な製造技術、代替プロテイン生産に積極的に投資している」とMac Millanは指摘。

「当社の発酵技術に基づくアプローチはこれらの優先事項と合致する」とし、サウジアラビア環境・水資源・農業省(MEWA)の「Sunbolah」アクセラレータープログラムにも参加しました。地域のニーズに対する理解を深めつつ、長期的なパートナーシップの機会を探求しています。

参考記事:
Verley Milks $38M in Funding for US Launch of Functional Animal-Free Whey Proteins
Verley closes €32M Series A to advance next-generation functional whey ingredients – Tech.eu
Precision fermentation startup Verley raises $38m Series A as BLG unlocks new segment of protein market

関連記事

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。