スウェーデンのMillow、菌糸体とオーツ麦から牛肉に似たタンパク質を作る世界初の工場を開設

スウェーデンのフードテック企業Millowが、30年にわたる研究期間を経て、同社初となる大規模生産施設を稼働させたと発表しました。

年内にも日産500kgのフル稼働を予定


スウェーデン西部のヨーテボリ中心部に位置するMillowの新施設では、菌糸体と北欧産のオーツ麦をクリーンラベルの牛肉に似たタンパク質に変換。

以前はレゴブロックの製造を行っていた2,500平方メートルの敷地にある各生産ラインは、年内にも完全に設備が整えられ、パイロットスケールを大きく超える1日あたり最大500kgのタンパク質を供給するようになる予定です。

新工場の建屋には、昨年欧州イノベーション会議(EIC)から獲得した240万ユーロ(約3億9,200万円)の助成金を得て推進され、欧州で最も先進的な発酵・食品研究所の一つとうたわれる施設も併設。

Millowの会長を務めるStaffan Hillbergは、「植物性代替肉は味と透明性で失敗したと批評家たちは言うが、この工場は、当社が産業規模でその両方を解決できることを示している」とコメントしています。

オーツ麦に菌類を生育させる独自手法


Millowのタンパク質原料は、特許を取得した「乾式発酵」技術で作られるもの。自然からヒントを得たと言うこの手法では、水中ではなく土中で成長する菌類の生態に合わせて、液体で満たした発酵タンクの代わりにオーツ麦の上に直接菌類を生育させます。

一晩のうちに穀物の基質をタンパク質に変換できるといい、場所を問わず最小限の資源で生産が可能。さまざまな地域での利用に適するよう、オーツ麦のほかにもキビ、ソルガム、醸造後のビール粕(BSG)もテストしています。

原材料はオーツ麦と菌糸体のみで、最終製品は完全タンパク質(100g中27g)、腸内環境を整えるβ-グルカン、キトサン繊維、天然のビタミン・ミネラルを含有。

構造も性能も筋組織によく似ており、牛肉と同じように焼いても形を保ち、後味を残しません。結着剤やマスキング剤を使用することなく、自然な食感と風味を得られる点が魅力です。

さらに持続可能性にも優れており、牛肉からMillowのタンパク質原料に切り替えると、温室効果ガスの排出量を最大97%削減可能。今回の工場設置にあたっても、LEGOの施設を再利用したことで約1,400トンのCO₂排出を回避できました。

通常の発酵生産と比べても顕著な効率性を発揮し、エネルギー消費は従来の3分の1。菌類が繁殖するのに十分な水分(1kgあたり3〜4リットル)があればよいため、水の使用量も標準的な菌糸体生産のプロセスより95%少なく済みます。

参考記事:
Millow invests in factory for mycelium oat alternative protein
Millow opens landmark mycelium protein facility in Sweden, pioneering a new category of clean-label fermentation foods | PPTI News
Millow commissions first large-scale plant for minimally processed alt meat in old LEGO hall

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