空気由来のタンパク質「Solein」を使用したビーンレスコーヒー、味の素がシンガポールで発売

食品大手の味の素が、空気由来の新規タンパク質原料「Solein」を配合したビーンレスコーヒーを、シンガポールで期間限定で発売しました。
「Solein」を用いた4つ目の製品化例に

味の素がシンガポールで発売した新製品「Atlr.72 GRe:en Drop Coffee」は、通常の深煎りコーヒー70%に米・ヒヨコ豆由来の代替品を30%組み合わせた、乳製品フリーのアイスカフェオレ。
代替コーヒーは、シンガポールに拠点を置くスタートアップ企業Preferの製品が採用されました。
ミルクの代替品としては、オーツミルクに加えて、フィンランドのフードテック企業Solar Foodsが開発したタンパク質「Solein」を植物油と水に混合したクリームを用いています。
乳製品を使用せずに、クリーミーな口当たりと深みのあるまろやかな風味を実現。代替品をブレンドすることでCO₂排出量を25%削減し、従来のコーヒーが環境に与える影響を軽減しました。
これにより味の素は、従来スイーツ分野に絞って展開してきた「Atlr.72(アトリエ・セブンツー)」ブランドを飲料分野へと拡大しています。今回は1週間の期間限定販売となりますが、今後も多様な食品に「Solein」を組み込む方法を模索していく方針です。
地球上で最も持続可能なタンパク質

味の素は2023年にSolar Foodsとの提携を開始して以来、さまざまな製品に「Solein」を配合してきました。
ガス発酵により生産されるこのタンパク質原料は汎用性が高く、プロテインシェイク、アイスクリーム、焼き菓子などの製品において従来のタンパク質の代替が可能。乳製品や卵黄の代替品としても機能します。
発酵させる微生物は、糖類や食品残渣ではなくCO₂、水素、酸素を栄養源とするため、農地や灌漑用水が完全に不要。培養後、乾燥された無味無臭の粉末は、タンパク質78%、脂質6%、食物繊維10%に加え、鉄分やビタミンB群を含んでいます。
Solar Foodsによると排出量は従来の食肉のわずか1%、植物性タンパク質の20%に抑えられ、「地球上で最も持続可能なタンパク質」。環境に負荷をかけず、味と機能性を維持しながらタンパク質含有量を高められます。
味の素は昨年8月に月餅とアイスクリームサンドで「Atlr.72」ブランドをデビューさせた後、今年に入ってアイスクリームを発売しました。いずれの製品もシンガポール国内の消費者から好評を得ているといい、同ブランドを日常の食事やその他の食品カテゴリーへとさらに拡大する計画を表明しています。
世界各国でスタートアップとの連携を進める
持続可能な食品への移行を加速させることを目指している味の素は、世界各国のスタートアップ企業との協業に注力。
これまでに提携を行った中には、植物性代替肉を手掛けるオーストラリアのv2foodとその子会社Daring Foods、精密発酵によりアニマルフリーのカゼインタンパク質を生産するフランスのStanding Ovation、人工知能(AI)を用いた甘味タンパク質の開発を目指す米国のShiruなどが含まれます。
イスラエルの培養肉企業SuperMeatへも出資しているほか、直近ではオレオソーム技術を活用した代替脂肪の開発を進めるシンガポールのFattastic Technologiesとも提携しました。
一方のSolar Foodsも、昨年実現したニューヨークの有名レストランでの限定提供に始まり、Superb FoodやKelpEatなど複数の企業への供給契約を締結。
今年はパフォーマンスと回復力を高めるプロテインパウダーと、卵不使用のマヨネーズを発表しました。大規模工場の建設も計画中で、順調に商業化拡大を進めています。
参考記事:
Ajinomoto’s New Dairy-Free Coffee Blends Traditional Brew with Rice and Chickpea-Based Alternative
Latte of the Future: Ajinomoto Unveils Beanless Coffee with Protein Creamer Made from CO2
Ajinomoto debuts Solein-powered coffee in Singapore under its Atlr.72 brand | PPTI News
Ajinomoto debuts Solein-based dairy-free coffee in Singapore | New Tech Foods


 
							 
							 
							 
							 
							
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