マッシュルームレザーのパイオニアMycoWorks、事業拡大に向けた買収を受け入れDFX Corp傘下に

バイオマテリアルを開発する米国のスタートアップ企業MycoWorksが、DFX Corpに買収され、独自の菌糸体技術の普及拡大に向けた戦略的再編を行うこととなりました。
3億ドルの評価額も、スケールアップに課題
2013年に設立されたMycoWorksは、糸状菌の根のような構造である菌糸体を用いて各種用途に使える持続可能な素材を開発する、代替レザー業界のパイオニア企業*。
バイオマテリアル業界では最も資金力のあるスタートアップの一つとして知られ、ナタリー・ポートマンや歌手のジョン・レジェンドといった著名人に加え、Gingko Bioworks、ゼネラルモーターズなどから1億8,700万ドル(約286億円)を調達してきました。現在の評価額は、3億ドル(約458億円)に上ります。
しかしながら、技術をスケールアップさせる過程で数々の課題に直面。昨年11月には、サウスカロライナ州の工場を閉鎖し従業員を解雇するとともに、事業の軸足を菌糸体培養から下流の加工工程へと移しました。
自社での菌糸体培養をやめて外部調達に切り替えつつ、自社開発のなめし技術「Rei-Tanning」に注力しています。
このたび同社は、投資と買収を幅広く手掛けるDFX Corpの傘下で新たな時代を迎える決断を下しました。共同創業者のPhilip RossとSophia Wangは引き続きチームを率い、独自の「Fine Mycelium」プラットフォームを次の開発・商業化段階へと進めます。
* 参考:ハイブランドも関心を寄せるマッシュルームレザー、米MycoWorksの開発ストーリー
クロムフリーで環境負荷の小さいプロセスを構築
MycoWorksは生産過程で、おがくず、石灰石、小麦ふすまなどのリサイクル原料を用いた固体発酵により菌糸体を培養。収穫した菌糸体のシートは、動物の革と同様になめし工場で加工処理することが可能です。
「Fine Mycelium」技術は、成長過程の菌糸体の細胞に加工を施し、強度や耐久性を向上させる相互に連結した細胞構造を形成するよう促すもの。精密に制御した条件下で細胞を培養して、デザイナー向けに微調整されたカスタマイズ仕様を提供できます。
最後は欧州の伝統的ななめし工場で、なめしと染色工程を実施。なめしには通常クロムを使用しますが、同社が独自に構築したプロセスではこれを用いず、環境や人体に影響を及ぼす心配がありません。
これらの革新により生み出された主力素材「Reishi」は、高級動物皮革の強度、耐久性、手触りを再現しながら、環境影響の大幅な低減に成功しました。
過去には、エルメスやリーン・ロゼなど名だたるブランドのバッグ、靴、衣類、家具に採用された実績も。さらに、ゼネラルモーターズのキャデラックやエルメスとのコラボレーションの一環として、ほかにも代替レザー素材を生産しています。
参考記事:
Philip Ross | LinkedIn
MycoWorks: Celeb-Backed Mushroom Leather Pioneer Snapped Up by Investment Firm


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