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フランスのAmateraが約11億円を調達、コーヒーからワイン用ブドウまで、気候変動に強い作物をAIで作り出す

フランス発のアグリテックスタートアップAmateraが、人工知能(AI)を活用した植物細胞生物学プラットフォームの拡張に向けて、シードラウンドで600万ユーロ(約11億円)を調達しました。まずはコーヒーとワイン用ブドウの栽培から着手しています。

気候変動に強い新品種の開発


Amateraがコーヒーとブドウの栽培に注力する背景には、世界で最も愛されている2つの飲み物が、存亡の危機に直面している現状があります。

コーヒー栽培に適した熱帯地域は2050年までに半減すると予想されており、ラテンアメリカや東アフリカの栽培地域の約90%が栽培不適地となる可能性も。コーヒー種の60%が絶滅の危機に瀕しているとも警告され、昨年コーヒー豆の価格は史上最高値に達しました。

一方、世界のワイン生産量は60年ぶりの低水準に落ち込んでおり、気温の上昇に伴いブドウの成熟が早まったことで、一部のワインメーカーはアルコール度数の高いワインを水で薄める必要に迫られています。

いずれの農産物も気候変動の影響を大きく受ける中、よりレジリエントなソリューションの開発が急務に。そこでAmateraは、AIを活用して気候変動に強い多年生作物を育てる手法の探究に着手しました。

この育種プラットフォームの拡大に向けて行われたシードラウンドは、Demea Sustainable InvestmentOyster Bay Venture Capitalが共同で主導。そのほか、既存の出資者であるPINC、Mudcake、Exceptional Venturesも追加投資を行い、累計調達額は750万ユーロ(約13億8,000万円)となりました。

Amateraは新たな資金により、コーヒーやブドウにとどまらず、世界の食料システムで重要な役割を果たす主要作物へと技術を拡張させる計画です。

5年以内に最初のコーヒー収穫を予定


新しい植物品種を生み出し選抜する既存の育種技術は時間と労力を要し、コーヒーやワインの新品種を作り出すには、最大20年の歳月と数百万ドルの費用がかかることも。

2022年にOmar DekkicheLucie Kriegshauserが共同で創業したAmateraは、細胞レベルで高性能な形質を発見する工程をAIで自動化。作物によっては育種にかかる期間を2~3倍短縮し、コスト効率を最大で10倍向上させました。

「当社の技術は、植物細胞株の自動再生とスクリーニングに重点を置いており、AI駆動型の選抜システムを統合して、最も有望な細胞株を高精度で特定している。さらに、細胞の物理的操作を処理し、ジェノタイピング(遺伝子型判定)を加速する高度なロボット工学と組み合わせている」とDekkicheは説明。

「これにより、数千もの候補株を細胞レベルで迅速にスキャンし、標的の遺伝子マーカーを持った希少な細胞株を特定して、植物で発現させることができる」といいます。

同社は、気温の上昇と病原菌の圧力の高まりに対応した、プレミアムな味わいのコーヒー品種を2種類開発しました。1つは、アラビカ種の豊かな風味とロブスタ種の高収量を組み合わせたロブスティカ(Robustica)種。もう1つは、天然カフェインフリーのアラビカ種です。

Dekkicheによると、これらのイノベーションは研究室で順調に進んでおり、最初の系統は今後2年以内に試験準備が整い、5年以内に最初の収穫を迎える予定。上記のコーヒー2品種に重点を置きつつ、最近ではうどんこ病に強いワイン用ブドウの開発にも研究の幅を広げました。

業界大手に負けない独自のアプローチが強み


Amateraのコーヒー品種は、従来のコーヒー豆よりも25%以上安価に生産できる見込み。遺伝子編集ではなく自然に起こる変異を活用しているため、どの作物もGMOに該当せず、規制上の複雑な手続きが必要ありません。

同社は種子を扱う企業との戦略的パートナーシップを構築して細胞スクリーニングのプラットフォームを展開しており、今後はグローバル規模の商社や焙煎所を含む大手のコーヒー会社に、自社品種のライセンス供与を行う計画です。

気候変動への取り組みが求められる中、注目を集める代替コーヒーの開発。Amateraと同様の試みとしては、ネスレが農作物を壊滅させる真菌性疾患のさび病に耐性があるとされる、高収量アラビカ種「Star 4」を開発。スターバックスも、気候危機に耐え得る6種類のアラビカ種を開発しています。

ただし、「業界の大手企業は主に従来の育種法に依存しているが、これは時間のかかる手作業で、広大な温室と農地が必要だ」とDekkicheは指摘。

バイオテクノロジーとAI、ロボティクスを融合させたAmatera独自のアプローチが、スピードとコスト効率を大幅に向上させられるという強みを強調し、「大手企業を必ずしも競合相手とはみておらず、むしろ当社の品種のライセンス供与や、育種目標の達成を加速させるような技術活用を期待できる戦略的パートナーだと考えている」と語っています。

参考記事:
From Coffee to Wine, Amatera Raises $7M to Expand AI-Led Tech for Climate-Resilient Crops
Amatera raises $7m to accelerate climate smart crop development by tackling screening bottleneck

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