EUが植物性代替肉の表示規制で合意、31の食肉関連用語の使用が禁止されるも「バーガー」や「ソーセージ」は免除に

欧州連合(EU)で数カ月にわたり続けられていた、植物性代替肉製品のラベル表示を巡る論争に進展がありました。

欧州議会、欧州理事会、欧州委員会による三者協議の末、食肉に関連する31の用語の使用を禁止することで合意。一方、「ベジーバーガー(veggie burger)」のような名称は禁止リストから除外され、使用が可能となっています。

最終採決後、3年間の移行期間を経て施行へ


欧州議会の議員らは、ヴィーガン製品のラベル表示とマーケティングにおいて、「ビーフ」「チキン」「ステーキ」「ベーコン」など31種類の名称の使用を禁止することで合意。

ただし、「バーガー」「ソーセージ」「ナゲット」「ハム」といった一部の一般的な名称や、代替シーフード製品は対象から外されました。このため、Beyond Meatの「Beyond Burger」をはじめとした多くの製品は、現在の名称を維持することができます。

植物性食品企業には、在庫を売り切って新規制に適合するまでの3年間の猶予期間が与えられました。条文の詳細は今週中に最終決定され、その後は全27加盟国の大臣が出席する農業・漁業理事会での採決、そして欧州議会本会議での最終採決へと移ります。

この措置は、最近締結されたEUとの貿易協定により英国にも波及効果をもたらすとみられるほか、欧州の小売市場や外食市場で急成長を見せている、動物性タンパク質と植物由来原料を組み合わせたハイブリッド肉市場にも影響を及ぼす可能性があります。

禁止に強く反対するオランダ出身の欧州議会議員Anna Strolenbergは、交渉が時間切れとなった後、「幸いなことに『ベジーバーガー』の禁止は成立しなかったが、その他の多くの言葉はブラックリスト入りしており、非常に残念だ。欧州は革新的な起業家を支援するべきで、彼らの前に新たな障害を設けるべきではない」とコメントしました。

多くの反対にもかかわらず規制が成立


ヴィーガン製品のパッケージに食肉関連用語の使用を禁ずるのは目新しい動きではなく、10年もの間議論が続いてきました。2020年には、一度EU議会で同様の提案に反対する多数票が投じられた過去があります。

しかし、昨年7月に行われた共通市場組織(CMO)規則の見直しをきっかけに、交渉が再燃。消費者や企業、そして多くの政策立案者からの継続的な反対にもかかわらず推し進められました。

9月には、欧州議会の49人の議員からなる農業委員会が禁止措置の実施を決議し、1カ月後の欧州議会本会議でも355対247で賛成多数との結果に。最終的に年内の合意には至らず、キプロスがEU議長国を務める2026年に決定が延期となっていました。

Strolenbergは、本法案の起案者と畜産業界のロビー団体との間に密接な関係があることを強調し、政治的利益を守るためだけの禁止措置には反対する姿勢を断固として保持。「このような無意味なイデオロギー政策こそが、EUの評判を落とす原因だ。戦争、気候変動、民主主義の崩壊といったことに対する強力な政策が欠如している時代に、ハンバーガーやソーセージについて議論している場合ではない」と話しています。

禁止を支持する人々が挙げる主な理由の一つは、ミートフリーの製品を従来の肉と同じようにラベル付けするとEU市民が混乱するというものですが、数々の調査によってこの言説は否定されてきました。

本法案の起案者が所属する欧州人民党(EPP)の代表Manfred Weberまでもが、「スーパーマーケットで商品を購入する消費者は愚かではない」として、不必要な禁止措置に反対の意を表しています。

農家や消費者にとって何の助けにもならない法律


前回の三者協議の前日、Strolenbergは欧州委員会に対して、EUに住む約34万人の署名が集まった請願書と、600以上の企業や団体が署名した公開書簡を提出。

英国では8人の議員グループが、英国市場にも影響を与え得る本法案の却下をEUに求める公開書簡を発表し、ポール・マッカートニーなどの著名人も呼びかけに加わっていました。

また、EUの最高裁にあたる欧州司法裁判所(ECJ)もこのような措置には反対であり、過去にフランスが独自の法制定に踏み切った際には裁定を実施。加盟国は独自の禁止措置を敷くことは原則できないとし、逆に消費者の混乱を増大させる可能性があると警告しています。

今回の合意を受けて、欧州ベジタリアン連合(EVU)の上級政策マネージャーRafael Pintoは、「この決定は、競争力の向上、イノベーション、食料安全保障、手頃な価格、簡素化、そして農家の所得向上といったEUの優先事項に反するものだ」とコメントしました。

植物性食品の業界団体EAPFで事務局長を務めるSiska Pottieは、「今回の三者合意は、欧州の食品業界にとって憂慮すべきシグナルだ。動物に関連する幅広い名称を禁止し、植物由来の代替品の説明を簡略化することは、不必要な官僚主義と市場障壁を生み出し、農家や消費者にとっては何の助けにもならない」と述べています。

参考記事:
EU agrees to chop meaty names from vegetarian and vegan food products | Europe | The Guardian
‘No clear environmental benefit’: EU crackdown on ‘meaty’ plant-based labels sparks climate concern
‘Burger’ and ‘sausage’ are saved – but EU’s misguided decision bans 31 everyday terms for plant-based food – GFI Europe
EU Bans 31 Meat Names on Plant-Based & Cultivated Products, But ‘Veggie Burger’ Saved
EU saves the ‘veggie burger’ but bans 31 meat terms in controversial labeling crackdown | PPTI News

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