スイスのCosaic、酵母由来原料で乳化剤を置き換えるため約9.4億円の投資を獲得

スイスのスタートアップ企業Cosaicが、酵母由来乳化剤の生産規模拡大と、米国および欧州における規制対応の推進のため、シードエクステンションラウンドの資金調達で600万ドル(約9億4,200万円)を確保したと発表しました。

米国をターゲットに、市場化の準備を進める


今回のラウンドは、化学・原料大手DSM-Firmenichのベンチャーキャピタル部門、dsm-firmenich Venturesが主導しました。そのほか、スイスの大手ファミリーオフィス、ディープテック投資会社Kickfund、そして既存投資家のNavus Venturesとチューリッヒ州立銀行(ZKB)も参加しています。

Cosaicは、昨年11月に米国の大手食品原料サプライヤーIngredion戦略的提携を行ったところで、またしても業界大手からの支援を獲得し、累計調達額は1,250万ドル(約19億6,000万円)となりました。

同社は、米国と欧州における規制対応、受託製造業者を活用した生産規模の拡大、大手顧客との工業規模での試験実施という3つを、事業における優先事項に設定。

特に、規制上の手続きが迅速に進むと見込まれる米国の市場を最初のターゲットにしており、「強力な戦略的支援と資本効率の高いスケールアップモデルにより、開発段階から市場化の準備段階へとスムーズに移行できる体制が整っている」としています。

共同創業者でCEOのTomas Turnerは、「当社では、食品企業が日々直面するクリーンラベル、官能特性、コストのトレードオフを解決する原料の開発に注力している。今回の資金調達の成功は、真の機能的価値と確かな商業化への道筋を提供できるフードテック企業を市場が支持していることを示す、明確なシグナルだ」とコメントしています。

酵母の発酵で実現するクリーンラベル製品


Cosaicは、食品・飲料業界向けの多機能原料を生産する酵母発酵プラットフォームを開発しており、最初のイノベーション例である「Cosaic Neo」は、乳製品や卵に代わってクリーミーさ、安定性、機能性を実現する乳化剤です。

原料の生産には、天然に多量の脂質を生成することで知られる、非遺伝子組み換えの油性酵母株を使用。この微生物に糖類、窒素源、ミネラルとビタミンの混合物を与えて、バイオリアクターで培養します。

同社独自のバイオマス発酵技術により、市販の装置を用いて化学薬品を使わずに細胞を破壊し、エマルジョンを抽出することが可能。抽出物は、微細構造のためにオフホワイトの色を呈します。

「Cosaic Neo」は、タンパク質8~15%、脂質45~60%(うち飽和脂肪酸13~22%)、食物繊維25~45%を含み、配合された製品にボリューム、栄養価、安定性を付与します。

用途例としては、プロテインシェイク、コーヒークリーマー、植物性ミルク、マヨネーズ、ソースなど。これらの製品には、乳化剤としてホエイや卵といった動物由来成分、またはレシチンなどの添加物が含まれている場合があり、Cosaicの原料はその代替品となります。

消費者の間では、よりクリーンな成分配合の製品に対する需要が強まっており、調査によるとミレニアル世代の76%が、クリーンラベル製品により高い価格を支払う意思があるとのこと。欧州連合(EU)では、74%の人がシンプルな成分構成を購買決定における重要な要素と考えています。

Cosaicの原料は、単一成分で8つの機能的メリットを実現できるといい、多数の成分や添加物を必要としていた従来品の配合上の課題を解決します。

参考記事:
Cosaic secures $6 million as industry leaders back next-generation food ingredients
Cosaic Bags $6M to Replace Industrial Additives with One-Size-Fits-All Yeast Ingredient
Cosaic raises US$6 million seed extension to scale yeast-derived ingredient platform with backing from dsm-firmenich Ventures | PPTI News

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