ワーゲニンゲン大学が、未来の食品を市場に投入するためのAIを活用した施設を開設

オランダのワーゲニンゲン大学(WUR)が、持続可能な食品の生産規模拡大、食品廃棄物の削減、環境に配慮した包装材の開発を目指した新たな研究開発拠点を開設しました。

クライアントの研究から実用化への移行を支援


「未来の食」に取り組む世界有数の機関であるワーゲニンゲン大学は、これまでにRival Foods、Revyve、TTM Ingredients、Greencoveryといった数多くのフードテック界のスタートアップ企業を輩出してきました。

このたび、その実績をさらに発展させるべく、開発から試験、生産スケールアップまでを担う研究・イノベーション施設「CIBIA」を設立。同拠点は、オランダの農業・漁業・食料安全保障・自然省(LVVN)および経済・気候政策省(EZK)による資金提供プログラムを通じた支援を受けています。

施設内には、高度な各種設備を備えたキッチン、先進的なセンサーや分析ツール、最終製品の評価試験が行えるラボを設置。

収集されたデータは、人工知能(AI)を活用したデジタルモデルやデジタルツイン* に統合することで、より迅速かつ効果的に最適化を進められるほか、エネルギーや水の使用、糖分・塩分の低減、製品品質に関するシナリオの検討も可能になります。

同大学のフードテック研究マネージャーRianne Ruijschopは、「未来の食料システムに向けたイノベーションには、優れたアイデアや科学的知識以上のものが必要。重要なのは、知識を、実際に変化をもたらせる実用的な形へと転換することだ」とコメント。

「CIBIAでは、原材料や技術開発から、製品開発、消費者の受容、そして社会的インパクトに至るまで、イノベーションの全プロセスを一箇所に集中させている。これにより、イノベーションを研究段階から実用段階へと迅速に移行させられるようになる」と述べています。

* 実際の設備に取り付けたセンサーから得られるデータを基に、コンピュータ上の仮想空間で再現して各種のシミュレーションを行う技術。

主要課題の解決には欠かせない連携を促進する狙いも


「CIBIA」で開発される予定のフードテック関連ソリューションには、エネルギーや水の使用量削減、原材料の有効活用、食品ロスの低減、新規タンパク質源、環境負荷を抑えた包装材などの革新的な技術・製品が含まれます。

この新施設には、建設段階から持続可能性が組み込まれており、低炭素素材を最大限に活用して気候への影響を最小限に抑える設計。耐荷重構造の大部分には木材を採用し、従来の工法に比べて排出量を大幅に削減しました。

外装にも木材が使われ、優れた耐久性で長期間の使用に耐え、メンテナンスの手間が少ない設計がなされています。コンクリートの利用は、床の一部など、技術的または経済的に必要な箇所に限定されています。

「CIBIA」はオープンな研究環境として運営され、大学の研究者と、企業、市民社会組織、政府、その他の研究機関を結び付け、健康、持続可能性、食料安全保障といった主要な課題の解決に不可欠な連携を促進する狙い。未来の食分野を主導していくというオランダ政府の姿勢を体現しています。

オランダはEU加盟国の中で唯一、培養肉や精密発酵タンパク質の一般向けの試食イベント実施を認めた国であり、Mosa Meatのようなパイオニア企業に対しても支援を行ってきました。RespectFarmsの手掛ける、従来型農場と培養肉生産との融合を図る取り組みなどにも注目が集まっています。

オランダ政府はまた、2030年までに植物性タンパク質の消費割合を50%以上に引き上げることを目標に掲げており、先月には、多数の団体の呼びかけに応じる形で、窒素削減計画および国家食料戦略の中に、植物性食品に関する行動計画を盛り込む動議が下院で可決されました。

参考記事:
Wageningen University & Research Opens AI-Enabled Facility to Bring Future Foods to Market
Wageningen opens CIBIA to speed food innovation from lab to market | PPTI News
Wageningen University & Research’s CIBIA plates up faster innovation – Food and Drink Technology

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