EniferがマイコプロテインのEU新規食品申請を実施、北欧企業では初
フィンランドのバイオテクノロジー企業Eniferが、欧州食品安全機関(EFSA)に対し、同社の主力原料「PEKILO」のEUでの販売に関する認可申請を行ったと発表しました。マイコプロテインの新規食品申請は、北欧企業では初となります。
シンガポールや米国でも申請を進める
マイコプロテインの商用化を目指すEniferにとって、この規制上の一歩は重要なマイルストーンとなるもの。
同社は今年、新たな生産施設を建設するため3,300万ユーロ(約54億7,000万円)の資金を確保しました。2025年末までの竣工を予定しているこの工場では、フル稼働すると年間最大3,000トンのタンパク質を生産でき、副産物からマイコプロテインを生産する世界初の施設となる見込みです。
CEOのSimo Elliläによると、「欧州が自然な市場であることに加え、EFSAの最も厳格な基準に従って安全性データをまとめることにした」とのこと。その包括的なデータを活用すれば、その他の地域でも比較的容易に申請が進められるとしています。
ただし、EUの審査プロセスには数年を要する見込みのため、米国でのGRASステータスとシンガポール、英国での新規食品申請を同時に進める計画。このうちシンガポールで最も早く認可が下りる可能性があるとみられ、スナックバーのような製品の試験発売を想定しています。
食品廃棄物を発酵生産に再利用
Eniferは、バイオマス発酵の技術と、砂糖の代わりに食品廃棄物を与えることで成長する独自の菌株を使用し、持続可能性を高めています。
この発酵プロセスは、林業から出る副産物を活用するため、1970年代にフィンランドの林業技術者によって生み出されたもの。1990年代になると林業分野の技術が進歩したため、利用できる副産物がなくなりましたが、2020年に設立されたEniferはこの発酵プロセスを再設計。乳糖パーミエイト(牛乳を限外ろ過して乳糖を分離したもの)を原料の一つに使用し、食品グレードの原料を大規模に生産する手法を編み出しました。
「PEKILO」は、70%のタンパク質と食物繊維を含み、ニュートラルな味と色を持ったパウダー状の製品。代替肉からベーキングまで、複数の食品用途で植物性タンパク質と同様に使用することができます。
Eniferは世界的な大企業とのパートナーシップを結んでおり、Nutrecoの一部門のSkrettingとは水産飼料、Purinaとはペットフード、Valioとは乳製品への応用をそれぞれ検討しています。
つい先月には、同じフィンランド企業のOnego Bio、Solar Foods、MeEat、Valio、Fazerとの共同プロジェクトについて、政府系機関Business Finlandからの研究開発助成金を獲得しました。
参考記事:
Enifer Breaks New Ground as First Nordic Firm to Seek Novel Food Approval for Mycoprotein
Enifer Eyes Novel Food Approval for Mycoprotein in EU, Singapore & Other Markets
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