Imagindairyの精密発酵乳タンパク質、イスラエルで安全性が認められ販売が可能に
イスラエル企業のImagindairyが、精密発酵を利用した乳清(ホエイ)タンパク質について、イスラエル保健省(IMOH)からの認可を取得したと発表しました。消費者にとって安全であることが確認され、イスラエル国内での販売が認められます。
精密発酵原料では国内2例目の認可に
Imagindairyの主要な開発ターゲットは、牛乳に含まれる乳清タンパク質の約半分を占め、ゲル化・起泡・乳化特性により食感や口当たりの向上に寄与するβ-ラクトグロブリン。
同社の製品は、味と栄養価の面で牛乳由来のβ-ラクトグロブリンと同じであり、牛乳、ヨーグルト、チーズ、アイスクリームなど、アニマルフリーの代替乳製品に使用が可能です。従来の乳製品よりも環境影響を格段に抑え、コレステロール、乳糖、ホルモンも含まれていません。
今回の認可取得により、同社はRemilkに次いで、イスラエルで販売を認められた2番目の精密発酵企業となりました。
同社は昨年、米国における規制への取り組みとして、GRAS自己認証(self-affirmed GRAS)を完了。今年初めに米国食品医薬品局(FDA)からの正式な通知(GRAS Notice)も得て、代替乳製品市場への参入を目指す企業との提携の機会が開かれました。
また、イスラエル北部のハイファ近郊に、次なる成長フェーズに備えた新本社を開設。最新鋭の研究開発ラボ、料理や食材への応用を探るテストキッチン、大規模な発酵工程と同じ条件を整えたパイロット生産ラインを備えています。
さらには、新たに取得した10万リットルの発酵能力を持つ大規模施設の稼働を開始し、従来の乳製品と同等以下の価格で試作品を生産できるようになりました。
タンパク質変換効率の高い麹菌を活用
フードテック、中でも代替タンパク質は、イスラエルでは優先研究開発分野トップ5のうちの1つとして認識されています。
この産業は2030年までにイスラエル経済に25億ドル(約3,800億円)の貢献をもたらすと予想されていることから、同国の企業は2014〜23年の間に、「未来の食」セクターにおける全ベンチャーキャピタル資金の10%を集めているほど。
Imagindairyも、2020年の設立以来、投資家から3,000万ドル(約45億5,000万円)以上を調達しており、乳製品大手ダノンのコーポレート・ベンチャー部門Danone Manifesto Venturesからも出資を受けています。
同社が精密発酵に用いる微生物は、日本の「国菌」と呼ばれる麹菌(Aspergillus oryzae)。麹菌は、飼料をタンパク質に変換する効率が牛の20倍高いといい、AI主導で効率性の高い生産手法を開発しています。
共同創業者でCEOのEyal Aferganが明かしたところによると、同社は乳製品メーカーや食品会社と提携し、B2Bで原料供給を実施。守秘義務の関係上、パートナー企業の名前は伏せられているものの、米国市場への参入計画は順調に進んでいるといいます。
現在は、次なる調達ラウンドの最終段階に入っており、調達した資金は商業化への取り組み促進に充てられる予定です。
参考記事:
Israeli Regulator Clears Imagindairy’s Animal-Free Whey Protein for Sale
Food-tech startup is granted approval to market its products in Israel – The Jerusalem Post
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