Magic ValleyとBiocellionが提携、シミュレーション技術で細胞の挙動を予測

オーストラリアのMagic Valleyと米Biocellion SPC(以下、Biocellion)が、バイオリアクターの設計を改良して培養肉生産の効率を高めるための覚書(MOU)を締結したと発表しました。

バイオリアクター内の培養細胞の挙動を予測


Magic Valleyは、生きている動物から採取したごく微量の皮膚組織を用いて、ウシ胎児血清(FBS)を用いずに培養肉を作る手法を確立。この皮膚細胞は人工多能性幹細胞(iPS細胞)へと転換することができるため、バイオリアクター内で筋肉や脂肪に成長させることが可能です。

同社によると、iPS細胞から培養ラム肉の製造に成功したのは世界初。ラム肉に限らず、あらゆる種類の食肉に同じ培養技術が適用可能だとしています。

一方のBiocellionは、ライフサイエンス向けのソフトウェア開発や、コンピュータモデリングを手掛ける企業。今回の提携では、同社の有するシミュレーション技術を、バイオリアクター内の細胞の挙動の予測などに活用。これにより、低コストで効率の良い研究開発の機会が得られ、培養肉やほかの代替プロテインの規模拡大に貢献できる見込みです。

最終的にはバイオリアクターの設計を改良し、培養肉の生産効率を高めることを目標としています。

Magic Valleyは昨年9月にオーストラリア初の培養ラム肉を披露した後、今年3月には培養ポークを発表。積極的な資金調達を行っており、300万ドル(約4億1,100万円)の調達を完了間近とのこと。

また、数カ月以内にオーストラリアの規制当局FSANZ(Food Standards Australia New Zealand)に正式な認可申請を提出するための準備の最中で、2024年までの認可取得を視野に入れて、次は培養ビーフの開発に着手する考えです。

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