米Puretureが韓国の乳業大手と提携、アニマルフリーカゼインを用いた製品の発売へ

米国・ニューヨークを拠点とするPuretureが、韓国の乳製品大手Namyang Dairy Products(南陽乳業、以下Namyang)との提携により、アニマルフリーカゼインを使用した製品の共同開発を行うと発表しました。

伝統的な発酵技術を採用


Puretureは、精密発酵ではなく伝統的な液体発酵により、酵母ベースの植物性カゼインを生産する企業。生産過程で遺伝子組み換え技術を一切使用しないため、規制認可に縛られない展開が可能です。

牛乳に含まれるタンパク質の約80%を占めるカゼインは、乳化作用を発揮して水分と脂肪分が分離するのを防ぐことにより、チーズのとろけるような伸びを生み出す物質。

同社の植物性カゼインを用いることで、デンプンや増粘剤、乳化剤が不要になり、クリーンラベル製品の実現に寄与するといいます。

既存の乳タンパク質を下回る価格を実現


現在はニューヨークに拠点を構えるPuretureですが、そのルーツは韓国。2022年、Rudy Yooにより韓国で設立された同社(創業当時の社名はArmored Fresh Technologies)は、昨年5月のブランド刷新を経て、8月に植物性カゼインの処方開発を発表していました。

大型の発酵タンク導入により月間200トン年間最大2,400トンのカゼインを生産可能な体制を構築。

また、酵母の発酵〜タンパク質回収〜乳化の全工程を連続して行うことで生産コストを抑え、既存の乳タンパク質より30〜40%も安い価格で供給できると見込んでいます。

現在、目標額を1,200万ドル(約17億7,000万円)としたシードラウンドでの資金調達が大詰めを迎えており、新たに得た資金は生産施設の建設などに充てる計画です。

持続可能な食への関心が高まる韓国


一方のNamyangは以前から、競合他社に対する攻撃的なマーケティング手法や不祥事などで、韓国国内で悪評を買ってきた企業でした。

2021年には自社のヨーグルトが「新型コロナを抑制する」効果があると主張したことで、世間から大きな非難を浴び、2カ月間の営業停止処分や警察の捜査にまで発展しています。

そして2年間に及んだ裁判の末、今月初めにHahn & Companyによる買収が決定。60年以上続いた同族経営を終わらせて悪化した経営の立て直しを図っており、一企業として新たな局面を迎えています。

韓国では、持続可能な食生活に対する意識の高まりと、植物性食品を推進する国家行動計画の策定により、ヴィーガン食が関心を集めている様子。

NamyangでCMO(最高マーケティング責任者)を務めるMyko Kihyun Namは、「当社では植物性食品業界に以前から注目していたが、適切な原料の必要性を感じていた。Puretureとの提携により、味、栄養、コスト面を犠牲にすることなく、乳製品フリーの代替品を提供できるようになった」と述べています。

参考記事:
Animal-free casein: Pureture CEO says “game-changing” yeast protein fully replicates traditional dairy
Startup Partners with South Korean Dairy Giant to Launch Vegan Casein Products Ahead of $12M in Seed Funding
Namyang Dairy sold to Hahn & Company, ending 60 years of family control

関連記事

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。