イスラエルのProFuse Technology、自然に不死化させた培養牛肉用のウシ細胞株を発売

筋組織の成長ソリューション開発を専門とするイスラエルのProFuse Technologyが、培養牛肉生産用の新しいウシ細胞株を発表しました。培養肉企業などへのライセンス供与により、当面の収益源とする狙いです。

遺伝子工学を使用せず、自然な不死化を実現


ProFuse Technologyが2年間にわたる広範な研究とテストを経て開発したウシ筋芽細胞株「PROFUSE-B8」は、細胞の増殖期と分化・成熟期の両方で高い効率を示すとのこと。

複数回の分裂を経て生き残る細胞を選び取ることで、遺伝子工学を用いることなく自然に不死化を実現させました。

CEOのGuy Nevo Michrowskiによると、同社では1年以上かけて90回の継代、300回の分裂に成功しており、安定したパフォーマンスを示しているといいます。

さらに、先月発売されたばかりの筋肉の分化を促進する培地サプリメント「PROFUSE-S1」と組み合わせることで、筋組織の形成を加速させ、より短期間で高い収率を得ることが可能です。

筋肉の成長速度を5倍に加速


Tamar Eigler-HirshGuy Nevo Michrowskiにより2021年に設立されたProFuse Technologyは、培養肉とライフサイエンス業界における、筋肉の成長を促進するソリューションの開発に特化した企業。

2022年10月には、ニューヨークを拠点とするフードテック・ファンドのGreen-Circleが主導するシードラウンドで、250万ドル(約3億7,300万円)を調達しました。

他社と協働して自社ソリューションの生産プロセスへの組み込みや技術開発を行ったりしており、その一例が、ナノファイバーの製造技術を有するエストニア企業Gelatex Technologiesとの提携。

Gelatexのナノファイバー製足場をProFuseの培地サプリメントや成長プロトコルと併用することで、3次元培養において筋組織の成長速度を5倍速め、成長サイクルを48時間以内に短縮できたと発表しています。

細胞の調達における課題解決の一手に


ProFuse Technologyはまた、鶏肉、豚肉、羊肉、魚の培養に合わせて筋肉の形成を最適化した細胞株の開発も積極的に行っていることを公表。

培養肉業界向けに現在市販されている細胞株は極めて少なく、The Good Food Instituteも強調しているように、培養肉企業にとって細胞の調達は困難な課題。PROFUSE-B8の発売は、各メーカーに新たな開発の機会をもたらし得るという点で重要です。

同様の動きとしては、英国のExtracellularMultusとの提携により、昨年ライセンスフリーの細胞バンクを立ち上げ。培養肉の研究開発を支援するためにウシ、ブタ、ヒツジの初代細胞の提供を開始しました。

同じ英国のバイオテクノロジー企業PluriCellsは、ウシ、ブタ、ヒツジの胚性幹細胞(ES細胞)株の販売を行っています。

参考記事:
More meat, more quickly: ProFuse Technology unveils non-GM cell lines for cultivated meat

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