培養肉を題材にした韓国ドラマ『支配種』の配信が決定、Disney+で4月10日から
定額制動画配信サービスのDisney+(ディズニープラス)が、培養肉を題材にしたオリジナルの新作スリラードラマ『支配種』(英題:Blood Free)を4月10日にリリースすると発表しました。
培養肉企業のCEOが主人公
チュ・ジフン(『魔王』、『キングダム』ほか)とハン・ヒョジュ(『トンイ』、『Moving』ほか)が主演を務める全10話のこのシリーズは、2025年を舞台にしたサスペンススリラー。
Disney+が公開した新しいポスターは、培養肉が物語の中心的な役割を果たすことが見てとれる仕上がりとなっています。
韓国版のポスターには、「人工培養肉の時代、ご一緒しませんか?」のコピーが。3Dプリンターのノズルの先に「BF」(Blood Freeの意味)の文字が刻印された培養ステーキ肉が置かれ、その両側にチューブが取り付けられたグラフィックが印象的です。
あらすじでは、「人工培養肉で新時代を切り開いたバイオテクノロジー企業、BFグループのCEO(ハン・ヒョジュ)と、彼女に意図的に近づいた軍隊出身のボディーガード(チュ・ジフン)が、謎の死と事件に巻き込まれ、その背後にある真実を追うサスペンス・スリラードラマ」と説明されています。
誤解を招かず正しいイメージを伝えることは重要
香港メディアの『Green Queen』は、本作は培養肉がポップカルチャーの一大潮流となることを予感させると報道。「培養肉はまだ始まったばかりの産業であり、欧米では一部の政治家が禁止に向けて動いていることを考えると、これからは消費者の賛同がますます重要になってくるだろう」と伝えています。
培養肉が映画やドラマに登場するのは、これが初めてではありません。オランダ人研究者マーク・ポストが世界初の培養ハンバーグを披露するよりも前の2009年、オフィスを舞台にした風刺的なコメディドラマ『Better Off Ted』で、「牛を使わない牛肉」を実験室で製造しようと試みる様子が描かれたことがありました。
このエピソードでは、出来上がった培養肉を試してみた登場人物が「ひどい味」と感想を述べるなど、培養肉について一般の誤解を招くようなものだったとも指摘されています。
その後、2020年には、米国の培養肉企業UPSIDE Foodsの物語を描いたドキュメンタリー映画『Meat the Future』が公開。チンパンジー研究の先駆者として知られ、国連平和大使も務めるジェーン・グドールが初めてナレーションを担当したこの映画は、昨年夏に都内でも上映されました。
韓国ドラマに培養肉が初登場した本作は、日本においても注目を集めていますが、チューブにつながれた肉のグラフィックや、英語版ポスターの「lab-grown」という表現には、まだ「実験室育ちの肉」という印象も残っています。
実際の培養肉の生産風景は、大型のタンク内で培養を行うビール醸造によく似たもの。メディアの力で培養肉自体の認知度が高まることはプラスの効果ですが、消費者を遠ざけることのないよう、イメージを正しく伝えていくことが重要です。
培養肉の市場化に近づく韓国
韓国では先月、食品医薬品安全処(MFDS)が培養肉に係る規制認可の枠組みを確立し、培養肉メーカーからの認可申請受け付けを開始。
審査期間は最大270日間で、申請費用は4,500万ウォン(約500万円)。GFI APACによると、間もなく国内のスタートアップ企業数社が申請を行うと見込まれ、韓国における食肉新時代の到来が間近に迫っています。
細胞培養を手掛ける韓国企業には、CellMEAT、SeaWith、Simple Planet、CellQua、Space F、3Dバイオプリンティングを活用するTissenBioFarmなど。
また、韓国で行われた消費者調査でも培養肉の可能性が示されています。アジア太平洋細胞農業協会(APAC-SCA)が1,110人を対象に昨年実施した世論調査では、90%が少なくとも一度は培養肉を試してみたいと回答(ただし、定期的に食べると回答したのは5%)。
39%がスーパーやレストランで培養肉が販売されることに賛成(14〜29歳で最多)で、商品化に反対したのはわずか10%でした。
しかしながら、価格は依然として大きな障壁となっており、購買の意思決定における最も重要な要因に価格(65%)、次いで味と食感(62%)が挙げられています。
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