韓国のSimple Planetが約12.6億円の政府助成金を獲得、2025年の認可取得を目指す

培養肉原料を開発する韓国のSimple Planetが、フードテック産業拡大に向け韓国政府が立ち上げた国家プロジェクトに採択され、110億ウォン(約12億6,000万円)の資金を受け取ったことを発表しました。

来年にも培養肉原料の規制認可取得を目指し、準備を進めています。

さまざまな種で細胞株を樹立


Simple PlanetのCEOを務めるDominic Jeongによると、同社は食品医薬品安全処(MFDS)に認可申請中で、「Balboa Kitchen」ブランドでの製品発売に向け、来年前半にも認可取得を目指しているとのこと。

来年後半には消費者への試食や試作品提供も目指しており、韓国にとどまらず、北米や東南アジアもターゲット市場としています。

この国家プロジェクトには、農林水産食品技術企画評価院(IPET)韓国農業技術振興院(KOAT)そして韓国海洋科学技術振興院(KIMST)の各政府機関が主導する3つのプロジェクトが含まれます。

Simple Planetは細胞採取の技術と懸濁培養プラットフォーム、13種類の細胞株培養肉生産用の無血清培地を有しており、これらが採択における重要な決め手となった様子。

同社は将来的にはホールカット肉の生産も計画していますが、現在は培養肉製品用のプロテインパウダーと不飽和脂肪酸ペーストの開発・生産を行っています。

動物種としては、牛、豚、鶏に加え、ウナギ、オヒョウ、ニジマス、クロマグロ、イカ、スケトウダラ、ロブスターなどのシーフードが中心。

さらにアヒル、ヒラメ、サケ、タラバガニ、カキの細胞株樹立にも取り組んでおり、将来はかまぼこやシーフードパウダーを作る計画もあるといいます。

生産規模の拡大によりコスト低下へ


今年2月にプレシリーズAラウンドで80億ウォン(約9億1,700万円)調達したSimple Planetは、現在大小6基のバイオリアクターを稼働させており、その総容量は1,150リットル

韓国国内に18,000平方フィート(約1,670平方メートル)の生産施設を建設中で、2025年までの稼働開始を予定しています。さらに、同年末までにはシンガポール、タイ、インド、米国でも生産を開始し、2万リットルの生産能力を目指すという計画も描いています。

すでにウシ胎児血清(FBS)から食品グレードの培地への切り替えに成功している同社は、規模の拡大により、生産コストを1リットルあたり1.5ドル(約234円)へと削減できる可能性もあると予測。

現在の生産コストはキロ単価約20万ウォン(約23,000円)で、末端価格は同7万ウォン(約8,000円)に設定されていますが、今後のさらなる技術開発によりコストを低下させる計画です。

培養肉開発に大きく進展が見られる韓国


韓国では先月、食品医薬品安全処(MFDS)が培養肉に係る規制認可の枠組みを確立し、培養肉メーカーからの認可申請受け付けを開始。

申請費用は4,500万ウォン(約520万円)で、審査期間は最大270日間とされています。

韓国政府は先日、東部の慶尚北道に細胞性食品の開発推進を目的とした特区を創設。培養肉の商業化を目指すスタートアップ企業10社が入居し、一部の規制が緩和された環境下で開発を進めます。

韓国で行われた消費者調査では、培養肉に対して100gあたり1,000~3,000ウォン(約110〜330円)多く支払ってもいいと考えているのは、わずかに12%

その代わり、57%の人が従来の食肉よりも安ければ培養豚肉を食べる(培養牛肉では25%)と回答しており、低価格が実現できれば受容が一気に進む可能性もあるでしょう。

参考記事:
Simple Planet receives $8m grant, eyes 2025 regulatory approval in South Korea | The Cell Base
Simple Planet Eyes 2025 Regulatory Approval in South Korea After $8M Government Grant for Cultivated Meat

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