マイコプロテインのパイオニア企業Mycorenaが倒産申請、事業継続のため新たなオーナーを探す

マイコプロテインを製造するスウェーデンのMycorenaが、財務面で大きな困難に直面し、倒産申請を行ったと発表しました。

投資家からの関心低下が主要因に


スウェーデン西部のヨーテボリに拠点を置くMycorenaは、2017年創業。マイコプロテイン市場のリーダー企業の一つとして地位を築くも、投資家の十分な関心を引くことができずシリーズBラウンドの資金調達に失敗しています。

先月には大型工場の建設を一時中断し、戦略的なビジネスモデルの転換を図るなど相当の努力を続けてきましたが、やむなく事業停止に至りました。

Mycorenaが資金の確保に苦しんだ一方、その他のバイオマス発酵企業の調達状況は、ほかのセクターに比べると堅調。第1四半期の合計では2億2,800万ドル(約360億円)となっており、植物性食品(5,800万ドル)や培養肉(1,200万ドル)を大きく上回っています。

これに加えて5月には、代替プロテイン業界への投資としては2022年7月以来最大となる1億ドル(約157億円)を、米国のMeati Foodsが調達しました。

新たな所有者の下で再建を目指す


Mycorenaの創業者でCEOを務めるRamkumar Nairによると、同社の元株主の何人かは現在新たなコンソーシアムを構築しており、不動産を買い戻して事業を再出発させられるよう目指しているとのこと。

代替プロテイン業界では、植物性食品を手掛けるMeatless FarmVBitesTattooed ChefPlant & Beanなどが、昨年から今年にかけていずれも破産の危機に直面しましたが、その後新たな親会社を見つけるなどして市場に復帰しました。

Mycorenaもこれまで構築してきた革新性と市場におけるプレゼンスを維持するべく、新たな所有者の下で再建を目指したいとしています。

スウェーデンの法律事務所Advokatfirman Lindahlが倒産手続きを進める管財人に任命され、同社の資産を評価し、新たな経営陣の下で事業を継続するための所有権入札の募集などを監督することとなりました。

Mycorenaは、特許や商標を含む貴重な資産を保有しており、買い手にとっては、マイコプロテイン生産の地盤を活用できる有利な機会となります。

Advokatfirman Lindahlの担当者Magnus Löfvingは、「Mycorenaには革新性を示す強力な資産のポートフォリオがある。この事業を取得し、継続してくれる買い手はすぐに見つかるだろう」とコメントしています。

製品開発と市場化の歩み


2017年以来バイオマス発酵分野を率いてきたMycorenaは、幅広く製品展開を進め、市場化の可能性を実証してきました。

2022年のシリーズAラウンドでは、代替プロテイン業界で北欧企業として史上最大の2,400万ユーロ(約41億2,000万円)を調達。累計では3,500万ユーロ(約60億円)を超える資金調達を行っています。

主要なマイコプロテイン製品「Promyc」に加え、史上初となる菌類ベースの脂肪やバターを開発。スウェーデンの農業協同組合Lantmännenとの協働で、廃棄物をアップサイクルして原料に用いる手法を確立しています。

Promycは、3Dプリンターで代替シーフードを製造するRevo Foodsに原料として供給され、昨年オーストリアのスーパーにデビューを果たしました。

また、Rebl EatsPeas of Heavenなどとの提携・協力により、EU域内の6カ国で消費者向け製品を発売しています。

参考記事:
Mycorena Files for Bankruptcy, Seeks New Ownership to Continue Pioneering Mycoprotein Ingredients
Mycorena CEO on Filing for Bankruptcy: ‘It’s the Most Viable Path for A Clean Restart’

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