米Mission Barns、コスト効率の良い接着培養に適したスケーラブルなバイオリアクターを開発

培養脂肪を開発する米国のスタートアップ企業Mission Barnsが、製薬業界で伝統的に使用されてきた単細胞(シングルセル)懸濁培養を行うバイオリアクターに取って代わる、培養肉生産用に最適化されたバイオリアクターを発表しました。

培養肉生産に適したバイオリアクターが不足


Eat Justで細胞農業部門の統括を務めていたEitan Fischerが2018年に設立したMission Barnsは、まずはじめに培養豚脂肪「Mission Fat」に着手。

植物由来原料と培養脂肪を掛け合わせたハイブリッド肉製品の可能性を示すため、ベーコン、バーガーパティ、ナゲット、ミートボールなどの開発を進めています。

同社が新たなバイオリアクター開発に注力したのは、生産能力とコストという、培養肉生産における2つの大きなボトルネックを解消するため。

従来のバイオリアクターは、バイオ医薬品の製造に使用されるものであり、培養肉生産に適したものではありませんでした。

同社によると、現在ほとんどの培養肉メーカーは単細胞懸濁培養を行うバイオリアクターを使用しています。しかしながら、この方法で培養を行うには、本来足場に付着して増える性質のある細胞に遺伝子組み換えを施し、懸濁液中でも増殖できるようにするなどの工夫が必要。

一方、足場を用いた接着培養が行えるリアクターは市場の需要に乏しく、小・中規模のものしか存在していないといいます。

近く米国で認可取得、製品化へ


Mission Barnsによると、同社のバイオリアクターは、動物の体内と同じように細胞が接着して成長する条件を再現。懸濁培養バイオリアクターのように設備に合わせて細胞を改変する必要がなく、コスト効率の良い大量生産が可能とのことです。

複数の生物種の細胞に適応しており、占有スペースも少なく済む上、形状や密度の変化を考慮しながら細胞を成熟させることで、1つのリアクター内でホールカット肉の生産も可能。

パイロットスケールでは100回以上の運転に成功しており、将来的に数万リットルのバイオリアクターを使用する商業規模の生産施設も計画しています。

市場化においてはB2BとB2C、両方のアプローチを採っており、B2Bの取り組みとしては大手食品会社への技術のライセンス供与や、共同ブランド製品の開発を模索。

B2Cでは消費者向けの自社ブランド立ち上げや、食料品店、レストラン、流通業者との提携を実施し、米国など数カ国で申請を進めている規制当局の認可が下り次第、外食および小売りのチャネルで発売する計画です。

参考記事:
Mission Barns Revamps Single-Cell Suspension Pharma Bioreactors to Scale Cultivated Meat Production
Mission Barns Upends the Production Status Quo with Novel, Scalable Bioreactors for Cultivated Pork Fat
Mission Barns unveils ‘novel, scalable, adherent’ bioreactor for cultivated meat, fat

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