韓国企業TissenBioFarmの霜降り培養肉、AgTech Breakthrough Awards「今年の培養肉製品」に選出
韓国の培養肉企業TissenBioFarmが、2024 AgTech Breakthrough Awardsの「今年の培養肉製品」を受賞したと発表しました。
低コストかつスケーラブルな技術が評価
農業・食品技術におけるトップ企業や技術、製品を表彰する「AgTech Breakthrough Awards」は、2020年に始まり今年で5回目。
AgTech Breakthroughの代表を務めるBryan Vaughnは、いまだ発展の途上にある培養肉技術は「持続可能な未来の食を形作るものだが、拡張性が低くコストが高止まりしており、業界内にギャップが生じている」ことを指摘。
TissenBioFarmの受賞にあたっては、培養肉生産における同社の低コストかつスケーラブルな技術のインパクトを評価したとしています。
また、代替食技術のカテゴリーではもう1社、オーストラリア企業のVowが「今年の培養肉イノベーション」賞に輝きました。
Vowは今年4月に、シンガポールで培養ウズラ製品の販売認可を取得。その後、同国のレストラン数店と提携し、消費者向けに期間限定での提供を行っています。
3Dバイオプリンティングを高速化
TissenBioFarmは、繊維状の筋肉や脂肪を「超高速」で作り出すことを可能にしたバイオファブリケーションシステムを用いて、霜降りのホールカット肉を生産するプラットフォームを開発。
従来の3Dバイオプリンティングに比べ最大35,000倍高速で、1時間に300kgもの繊維を作ることができるといいます。
さらに、光遺伝学(オプトジェネティクス)の技術を利用し、光で細胞の増殖と分化を誘導することで、ウシ胎児血清(FBS)など高価なタンパク質原料の使用をなくし、生産コスト削減に成功しました。
同社は、本物により近い外観を生み出し、風味と食感を高める霜降りを再現する技術に注力。霜降りのパターンを変化させることで、より健康的な製品を求める消費者の好みなどに合わせて製品特性を調節できることも強みとなります。
2027年までにキロ単価10ドルを目標
昨年、韓国で新設された細胞農業支援センター(North Gyeongsang Cellular Agriculture Industry Support Center)に入居する際、TissenBioFarmは重さが10kgある塊肉のプロトタイプを披露。その他の手法では実現が難しい、厚みのある培養肉の生産が可能なことを実証しました。
2027年までにこの技術をさらに発展させ、培養肉の生産コストを1kgあたり約10ドル(約1,400円)まで下げることを目指します。
同社は、韓国の培養肉セクターを支援・発展させることを目的に7月に発足したばかりの「Bio Future Food Industry Association」に参画。
また、韓国政府が今年指定した培養肉特区(開発を行う企業に対する規制を一部免除した地域)でも、参加している他社との共同で商用化に向けた取り組みを進めています。
参考記事:
Marbled Cultivated Meat by TissenBioFarm Wins AgTech Breakthrough Award
Power of local: Korea’s TissenBioFarm on its bottom-up approach to bring cultivated meat to the market : TissenBioFarm Official Website
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