菌糸体サーモンフィレを展開するRevo Foods、世界最大の3Dプリント食品工場をオープン

オーストリアの代替プロテイン企業Revo Foodsが、3Dプリント食品に特化した世界最大の工場の開設と、菌糸体を原料とするホールカットサーモンフィレのバージョンアップを発表しました。

菌糸体と3Dプリントの組み合わせ


オーストリアの首都ウィーンに位置する新施設「Taste Factory」は、フル稼働すれば月に最大60トンの製品を生産することができ、食品の3Dプリント技術を応用した施設としては最大だとされています。

Revo Foodsの3D構造化技術は、2つの素材(タンパク質と脂肪など)を組み合わせて、筋肉などを模した複雑な形状に成形するもの。ヴィーガン食品において課題となる、望ましい食感とジューシーさを作り出すのに役立ちます。

脂肪の統合により生み出される繊細な層は、焼いたり揚げたりすると分離する性質があるとのこと。CEOのRobin Simsaは、「3D構造化技術を使えば、菌糸体のようなシンプルで栄養豊富な食材を使って、これまでになかった食感を作り出すことができる」と述べています。

昨年発売したサーモンフィレをバージョンアップ


2020年創業のRevo Foodsは、昨年マイコプロテインをベースにした初の製品「THE FILET」を発表し、REWE Groupが展開するヴィーガン専門スーパーBilla Pflanzillaで販売を開始しました。

原料のマイコプロテインは、スウェーデン企業のMycorenaから供給を受けたものでしたが、同社は今年倒産を申請。その後間もなく、ベルギーの同業他社Naplasol買収されています。

Revo Foodsは、Mycorena倒産の影響を受けない方法を見つけるのに成功したとのことで、マイコプロテインの供給元は無事に確保できているようです。

「THE FILET」は、EU域内で流通する食品の栄養表示「Nutri-Score(ニュートリスコア)」では最高ランクの「A」を獲得。微細藻類オイル由来のオメガ3脂肪酸、ビタミンB6・B9・B12を含むほか、食物繊維が豊富で、今回のバージョンアップでタンパク質も従来品より多くなりました(100gあたり9gから14gに増加)。

この製品は、同社ウェブサイトでは100g3.99ユーロ(約650円)で欧州向けに販売されており、オーストリアの500を超えるREWEの店舗でも展開されます。

肉の模倣を意図していない独自製品を追求


Revo Foodsはまた、生産技術の供与を目的としたパートナーシップにも関心を示しました。同社の3Dプリント技術は、植物性食品の大規模生産で見られるような高温や高圧を必要とせず、製品中の栄養素を保持できるという点で魅力的なものとなっている様子。

CEOのSimsaは、「将来的には、ほかの食品メーカーに設備や技術の提供を行うことに注力したいと考えている。当社の技術は、植物性食品以外の伝統的な食品企業にとっても興味深いもののようで、現在プロジェクトの実現可能性を探っているところだ」と語っています。

積極的に独自製品の開発努力を継続する同社製品は、あえて肉を模倣することを意図していないユニークなもので、新しい食感とうま味を持った代替食を開拓しています。

Simsaによると、「タンパク質が豊富な食事がしたいと感じている人は多くいるが、その食事は必ずしも肉のような味でなくてもよいとの声を聞き、ここに探求できるニーズがあると考えた」とのこと。

今年3月には3Dプリントした世界初のヴィーガンタコ「THE KRAKEN」を限定発売していましたが、こちらも近く再販が決定しています。

参考記事:
World’s Largest 3D Food-Printing Facility opened in Vienna by Revo Foods
Austrian Vegan Seafood Startup Opens ‘World’s Largest’ 3D-Printed Food Factory
Revo Foods Launches Mycoprotein Salmon Made At ‘World’s Largest’ 3D Food-Printing Facility

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