フランスのBon Vivant、精密発酵分野では欧州初の査読付きライフサイクルアセスメント結果を公表
精密発酵乳タンパク質を生産するフランスのBon Vivantが、欧州では初の査読付きライフサイクルアセスメント(LCA)を実施、その結果を公表しました。
精密発酵では環境効率が大幅に向上
LCAとは、原料調達から生産、消費、廃棄までのライフサイクル全体を通じた環境影響を評価する手法で、製品の信頼性を高めると同時に、企業の透明性と持続可能性へのコミットメントを強調する目的で行われるものです。
Bon Vivantは以前にも、精密発酵乳タンパク質では欧州初というLCAを行っていましたが、今回の最新版では、INRAEの専門家Lorie Hamelinによる科学的な第三者検証を実施。
従来の乳タンパク質と比較して、Bon Vivantが生産する乳タンパク質の環境影響を測定したところ、精密発酵技術により環境効率が大幅に向上し、温室効果ガス排出量が72%、水の消費量が81%、農地の利用面積が99%削減されることが分かりました。
この結果について同社は、従来の酪農を補完しながら気候変動と闘い、フランスの食料・技術主権の確保に貢献する精密発酵セクターの発展にとって有望だと主張しています。
酪農と精密発酵が補完し合う関係が理想
フランスと欧州全体の牛乳生産量がいずれも減少傾向にある一方で、動物性タンパク質に対する需要は世界的に急増しています。
Bon Vivantの共同創業者でCEOを務めるStéphane Mac Millanは、「当社の技術がフランスの酪農産業の持続可能性を確保する上で有用であることを示すという、重要なステップをクリアできた。今後は、この乳タンパク質を使った製品が、従来の牛乳を使った製品と品質の面で変わらないことを実証したい」とコメント。
「従来の酪農と精密発酵、2つの手法が補完し合うことで、我々が直面している大きな課題を解決することができると確信している」と語っています。
同社は、昨年10月に1,500万ユーロ(約24億5,000万円)の資金を調達。2025年までに米国食品医薬品局(FDA)の認可を取得し、米国市場に製品を投入する計画です。
参考記事:
LCA Version 2 | Bon Vivant
Bon Vivant Presents “Europe’s First” Peer Reviewed Life Cycle Analysis for Precision Fermentation Sector
Company Unveils Peer-Reviewed Life Cycle Analysis Of Precision Fermented Proteins
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