CULT Food ScienceがThe Better Butchersを買収し、菌糸体とハイブリッドの代替肉市場に参入

細胞農業分野の企業に多くの投資を行うカナダのCULT Food Scienceが、同じくカナダの代替肉メーカーThe Better Butchersを買収する内容の基本合意書(LOI)を締結したことを発表しました。

デューデリジェンスや規制当局の承認などの条件に従い、前者が後者の株式を100%取得する取引となります。両社は取引条件の最終調整に入っており、2025年2月10日までに最終契約を締結する予定です。

菌糸体とのハイブリッド製品で収益源を創出


The Better Butchersは、カナダで初めて培養肉を市場に送り出すことを使命とし、2022年に設立されました。昨年には、培養肉専門の精肉店をバンクーバーにオープンする計画を明らかにしています。

しかし認可が進んでいないこともあり、同社は現在、菌糸体ベースの代替肉に注力。バイオマス発酵により得られる菌糸体タンパク質を使用し、高い栄養価と豊かな風味を併せ持った製品群を発表しました。

チョリソーやイタリアンなどの風味に仕上げた菌糸体ベースのクランブル(そぼろ状の生地)のほか、無香料のものも展開しています。

同社は、最終的には菌糸体と培養肉を組み合わせたハイブリッド製品を作ることを目標としており、これらの初期製品を、培養肉に関する将来の研究資金を生み出すための収益源とする計画です。

The Better Butchersの共同創業者でCEOを務めるMitchell Scottは、2016年に植物性代替肉ブランド「The Very Good Butchers」を立ち上げましたが、こちらは昨年初めに操業を停止し、資産売却手続きに入ると発表。その後、CULT Food Scienceの前CEO辞任に伴い同社に加わり、現在CEOを兼任しています。

培養肉の認可プロセスも進行中


この取引は、デューデリジェンスが何事もなく完了すること、規制当局の認可が得られること、CULT Food Scienceの既存株主の承認が得られることなど、いくつかの条件を規定。CULT Food Scienceはまた、取引完了後60日以内に少なくとも150万ドル(約2億3,200万円)の資金調達を完了することが求められます。

カナダの細胞農業分野のイノベーションをリードすることを目標にスタートした同社は、学術機関との提携や、Eat JustUmami Bioworksといった培養肉スタートアップへの国境を超えた投資に注力しています。

昨年には、培養ペットフードを開発するBecause Animals(現:BioCraft Pet Nutrition)のプラントベース事業を買収するLOIに調印し、韓国のスタートアップ企業Everything Butとは米国でペットフード用培養チキンの発売を模索。

培養肉をめぐる規制上のハードルを考慮した結果、より収益化が容易とみられる分野にも進出し、「Noochies!」ブランドから栄養酵母を用いたアニマルフリーの猫用スナックを発売しました。

一方で、培養鶏肉原料の認可取得にも踏み出しており、必要な給餌試験について米国食品医薬品局(FDA)提出し、試験設計は概ね適切であるとのフィードバックを得ています。

参考記事:CULT Food Science Targets Mycelium and Hybrid Alternatives with Acquisition of The Better Butchers

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