ヴィーガン認証団体V-Label、アニマルフリーの発酵食品を認証する新制度「F-Label」を導入

ヴィーガン・ベジタリアン食品に対する認証を行うことで世界的に知られる団体V-Labelが、精密発酵などの発酵技術を用いて作られる食品に特化した認証制度「F-Label」の導入を発表しました。
今年初めには、細胞培養食品を認証する「C-Label」が立ち上がったばかりで、代替プロテインの広い範囲をカバーする認証制度が誕生しています。
倫理的な食品生産の透明性を確保
「F-Label」は、精密発酵を中心に、バイオマス発酵、ガス発酵、無細胞タンパク質合成などの技術に特化した世界初の製品認証。対象となるのは、β-ラクトグロブリン、カゼイン、ヘムなど、従来動物由来だった成分を置き換えて作られた製品です。
この制度自体は規制当局の承認に代わるものではなく、原料の生産過程に関する透明性を確保し、従来の植物由来製品との差別化を図りながら、アニマルフリーであるのを保証することが目的。
また、倫理面・環境面の要素を考慮する既存のヴィーガン認証との違いとして、「F-Label」は生産に動物が関与しておらず、かつ最終製品が動物由来成分と分子レベルで同一であること、最終製品に遺伝子組み換え作物が含まれていないこと(GMOフリー)、生産過程で抗生物質を使用していないことなどが検証されます。
「F-Label」認証を受けた最初の企業は、南米チリの首都サンティアゴを拠点とするLuyef Biotechnologies。植物性代替肉や培養肉の色、香り、味を向上させるよう設計された精密発酵ミオグロビン「TAMEE」で認証を取得しました。
アレルギーを持つ人の混乱を防ぐ意図も

発酵をベースとした技術は、代替タンパク質の中でも注目が高まっており、昨年の投資額は前年比43%増加。シンガポールや米国など、各国で規制認可を受けて商品化されるケースが増えています。
V-Labelによると、「F-Label」が存在する主要な理由は、ヴィーガンフレンドリーをうたった製品に関する消費者の混乱を解消するため。
精密発酵企業の中には、ヴィーガン認証ラベルを製品に使用している企業もありますが、乳製品アレルギーを持つ人には適していない場合があり、線引きが曖昧になってしまっていました。
また、ヴィーガン認証(V-Label)では動物由来成分と同じ分子を含む製品は認定から除外されるため、「F-Label」はそのギャップを埋めつつ、食品の性質が「植物と動物のどちらに似ているのか」を明確にすることができます。
また、一つの製品で「V-Label」と「F-Label」両方の取得も可能で、V-Labelを創設したRenato Pichlerによると「それぞれの申請を個別に検討し、顧客にとって最も混乱が少ないコミュニケーション方法についてのアドバイスを提供する」とのこと。
「この分野は技術面では急速に進化しているが、多くの消費者はまだ個人的な見解を固めていない。最新のトレンドに従って、消費者が学ぶのを助けていくことが極めて重要だ」と話しています。
参考記事:
F-Label launches as first label for precision fermentation, paving the way for future animal-free production – F-Label
F-Label Establishes Standards for Animal-Free Ingredients Produced via Fermentation
F-Label: From Animal-Free Dairy to Gas Proteins, Fermentation Has A New Certification
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