スイスのCosaicがブランドを一新し、100%酵母由来のアニマルフリー乳化剤を発表

酵母をベースとした食品原料を生産するスイスのCultivated Biosciencesが、「Cosaic」への社名変更と、製品化を目指すアニマルフリーの乳化剤を発表しました。

成分表示は「酵母」のみ、究極のクリーンラベル製品


「Cosaic」という新たな社名は、脂肪、タンパク質、繊維が「モザイク状に」1つの乳化剤に混ざり合う様子をイメージしたもの。当初は純粋な代替脂肪の開発に重点を置いていた同社ですが、より強力な原料を生産するようアプローチを変更しています。

同時に新製品として、酵母の発酵による機能性に優れた天然エマルジョン「Cosaic Neo」を発表しました。

この原料は、タンパク質8~15%、脂肪45~60%(うち飽和脂肪酸13~22%)、繊維25~45%を含み、成分表の記載が「酵母」のみという究極のクリーンラベル製品。ほかの成分を一切混ぜておらず、非遺伝子組み換えの油性酵母の細胞内で天然のエマルジョンを成長させているとのことです。

8つの主要な機能性をもたらすといい、味、口当たり、安定性などを改善しながら、従来の動物由来や合成による乳化剤の置き換えが可能。

共同創業者でCEOのTomas Turnerによると、「ほとんどの酵母ベースの原料が精製タンパク質、香料、オイルであるのに対し、当社独自のエマルジョンは全く異なる方法で酵母の可能性を最大限に引き出すもの」。食品メーカーが原料として用いても味に妥協する必要なく、コストを増加させることもないといいます。

2026年にプロテインシェイクの商品化を計画


「Cosaic Neo」は、代替ミルク、コーヒーミルク、栄養ドリンク、マヨネーズ、ソース、クリームリキュールなど、さまざまなカテゴリーでの使用に適応しており、中でも米国の飲料カテゴリーで急成長を見せているプロテインシェイクが用途として最適。

Cosaicによると、市販されている植物性シェイクのほとんどはタンパク質含有量が8%程度で、それ以上増やすとゲル化や強いオフフレーバーの発生につながってしまうといいます。

「Cosaic Neo」はこのオフフレーバーをマスキング、タンパク質を可溶化して、添加物を置き換えながらタンパク質含有量を13%まで高めることが可能です。

この分野に重点を置いて商品化を計画しており、年内に米国と欧州で規制当局への認可申請を行う予定。2026年を目処に米国市場に投入するため、業界大手と協力を開始しています。

CEOのTurnerは、「プロテインシェイクを購入する健康志向の消費者も食品メーカーも、等しく手頃で最大限の栄養を含んだ製品を求めている。同じ容量でもより高い栄養価を持たせて、双方の要望を実現したい」とコメントしました。

同社は昨年、オランダのVC Navus Venturesが主導するシードラウンドで500万ドル(約7億3,000万円)調達を実施。目下、米国での製品発売にあたり、プレシリーズAラウンドで750万ドル(約11億円)の調達を目指しています。

参考記事:
Cultivated Biosciences Rebrands to Cosaic, Introduces Unique Yeast-Based Ingredient
This Swiss Startup’s ‘Natural’ Emulsifier Contains Fermented Yeast – And Nothing Else

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