代替レザーのパイオニアModern Meadowがメルセデス・ベンツと提携、アニマルフリー素材を車内インテリアに活用

米国・ニュージャージー州を拠点とする持続可能な代替素材のメーカーModern Meadowが、独メルセデス・ベンツとの開発パートナーシップを締結したと発表しました。
提携の一環として両社は、Modern Meadowの素材「INNOVERA」を使用したアニマルフリーの代替レザーを開発しています。
レーシングカーのタイヤを再利用

両社の協働により開発された新素材は、ケミカルリサイクル工程を経たレーシングカー「AMG GT3」のタイヤ、植物由来のタンパク質、そしてバイオポリマーからなります。
従来のレザーに見られるコラーゲンの主要な特性を再現しており、デザインの自由度も同程度とのこと。ヌバック、フルグレイン、スエードなどさまざまな仕上げが行え、多彩な色や手触りを作り出すことも可能です。
メルセデスAMG(メルセデス・ベンツが展開するスポーツ・レース系ブランドの子会社)の次期量産モデルを紹介するプログラム「CONCEPT AMG GT XX」では、この代替レザーを内装に用いたスポーツカーを開発。
過酷な競技で消耗したレーシングカーの廃タイヤ1本から約4平方メートルの代替レザーのベースを作り、ブラックのシートパッドにはナッパレザー調のバリエーションを使用しています。
Modern Meadowによると、アニマルフリーのレザーは通気性と防水性を兼ね備えており、従来の素材よりも軽量ながら、引張強度は2倍に増強。この素材の開発をさらに進め、量産につなげることが今回の提携の目標とされています。
美観、性能、持続可能性を同時に実現
Modern Meadowは先月「Global Fashion Summit」で披露したばかりのこの素材を、今後の主力製品とする予定。再生可能炭素の含有率80%以上と環境影響が小さく、保管にも特別な条件を必要としません。
さらに、どのような標準的な製造プロセスにも適応できるといい、自動車以外にも家具、ファッション、シューズ、アクセサリーといった業界の顧客への提供を目指して、商業生産体制を整えています。
CEOのDavid Williamsonは、「美観、性能、持続可能性を完璧なバランスで実現する次世代素材INNOVERAは、自動車インテリアの可能性を再定義するものだ。メルセデス・ベンツとの開発パートナーシップにおいては、見た目や汎用性、手触りを犠牲にすることなく、高級レザーに代わる新しい素材を生み出した」とコメントしています。
メルセデス・ベンツにとって、アニマルフリーのレザーを内装に採用するのは今回が初めてではなく、2022年に発表したコンセプトEV「Vision EQXX」では、キノコとサボテン由来のバイオレザー、竹繊維、バイオベースのシルクを使用していました。
その他の自動車メーカーでは、ゼネラルモーターズが昨年、キャデラックのコンセプトEVに米MycoWorksの菌糸体ベース素材を活用した例もあります。
参考記事:
INNOVERA™ | Modern Meadow enters development partnership with Mercedes-Benz: leather alternative made of INNOVERA™
Modern Meadow Partners With Mercedes-Benz to Develop Animal-Free Car Interiors
Mercedes’ New Bio-Leather Could Change What Interiors Are Made Of | Ethos
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