独GEA Group、米国で細胞農業の生産能力強化を支援するテクノロジーセンターを開設

食品加工機器の製造・販売を手掛けるドイツ企業のGEA Groupが米国・ウィスコンシン州に建設を進めていた「New Food Application and Technology Center(ATC)」が完工し、開所式を迎えました。

植物性食品から培養肉、精密発酵まで、幅広い新規食品の生産プロセスをテストし最適化するための先進的な設備を備え、スタートアップ企業の規模拡大を支援します。

約30億円を投じた新施設がオープン


このセンターは、細胞農業のプロセス開発と拡大を支援することを目的としたもの。2,000万ドル(約29億6,000万円)を投じて昨年5月に起工され、約1年をかけて建設が完了しました。

2023年にドイツ中部のヒルデスハイムに開設した施設に続き、GEA Groupの保有する2番目のセンターとなります。

1,3000平方フィート(約1,200平方メートル)の施設には、発酵生産と細胞培養を行うバイオリアクターに加え、望ましい食感、味、コスト効率を備えた製品を開発するのに重要な上流・下流工程の加工機器(熱処理、無菌充填、ろ過、スプレードライ、遠心分離など)を備えています。

50リットルから500リットルまでのバイオリアクターを揃え、柔軟なモジュール式設備により、小規模なラボスケールから産業規模に近い大規模生産まで対応。施設のユーザーは細胞種や培地などの条件をさまざまに変更して実験が行え、スムーズなスケールアップが図れます。

CEOのStefan Klebertは、「食品業界は岐路に立たされており、将来の世代に持続可能な食料を供給するためには、ビジョンを拡張可能な現実に変える必要がある。新しいセンターは重要なマイルストーンであり、精密発酵卵白や培養シーフードといった新規食品の生産規模拡大を助けながら、北米での事業を強化したい」とコメントしています。

再生可能エネルギーのみで稼働する工場に


ATCはまた、微生物学的検査や細胞ベースの分析を行うラボが設置されているほか、イノベーションと技術者教育のための協業スペースとしても機能し、ワークショップやデモンストレーションを開催して製品開発の加速を支援。

「2040年にネットゼロを達成する」というGEA Groupの持続可能性目標に貢献するべく、100%再生可能エネルギーで稼働し、ソーラーパークでは余剰電力も発電するといいます。

多数の雇用を創出して地域経済にも影響を与えることから地元関係者にも歓迎されており、地域の経済開発ディレクターを務めるJimsi Kubornは、「この施設は米国中西部全体、ひいてはそれ以外の地域でも可能なことを示すモデルになる」と指摘。

「農業の伝統と近代的な技術革新の融合を象徴するものであり、パートナーシップと労働力開発の新たな機会となるだろう」と述べています。

参考記事:
GEA opens alt protein center in US
GEA Celebrates Grand Opening of $20M Tech Hub for Precision Fermentation and Cultivated Foods
GEA opens new technology centre in Wisconsin to advance alternative protein production | FoodBev Media

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