ブラジルのTypcal、約3億円の資金を得てラテンアメリカ初の大規模菌糸体発酵プラントを開設

マイコプロテイン原料を手掛けるブラジルのTypcalが、南部のクリチバ都市圏に大規模発酵プラントを開設しました。この施設により商業規模の生産が可能となり、来年までに欧州とラテンアメリカでの原料販売を開始できる見込みです。

2026年に複数の製品発売を目指す


新施設の建設は、ブラジル人投資家と、食品・バイオテクノロジー分野に特化したインキュベーションプログラム「Biotope」による1,000万レアル(約2億8,500万円)の投資によって実現しました。Typcalはまた、昨年ブラジル政府から25万レアル(約710万円)の資金調達にも成功しています。

同社は、菌類が持つ根のような構造、菌糸体に由来するタンパク質原料の生産に注力してきました。

マイコプロテインと呼ばれるこの菌糸体タンパク質は、機能性、栄養プロファイル、そして従来の動物性タンパク質と比べて低い環境負荷から、有望な代替タンパク源として関心を集めています。

Typcalはウェットとドライ、2種類のマイコプロテイン製品を展開する予定ですが、2026年中の発売に向けてさらに2つの製品を開発中とのこと。主なターゲットとしては、消費者向け製品ではなく、機能性タンパク質原料を求める食品メーカーを検討しているようです。

ブラジルの国内市場が引き続き事業の中核を成す一方、規制面の状況と代替タンパク質需要の両方を鑑みて、欧州を初期の輸出市場に位置付けています。

ラテンアメリカの食品産業における歴史的瞬間


クリチバはブラジル国内のイノベーション拠点として知られ、熟練労働者、インフラ、農業サプライチェーンへのアクセスが良好な地域。Typcalは、海外に生産を委託する代わりに地元で大規模発酵を行う判断をする上で、これらの要素が決定的だったとしています。

新施設は、ラテンアメリカ地域で初となる菌糸体に特化した大規模発酵プラントとされており、将来の拡張も見据えて設計されたもの。これにより、原料開発、発酵、下流の加工工程を一つの施設内に統合することが可能となりました。

共同創業者でCEOのPaulo Ibriは、「自社プラントの保有はターニングポイントとなる出来事だ。特に新規タンパク質という難しい分野において、パイロットスケールから商業生産への発展に成功した世界でも数少ないスタートアップの一社となった」とコメント。

これまでの代替タンパク質に関連するイノベーションの大半が、研究段階やパイロット段階にとどまっていた現状を指摘し、今回のプラント開設をラテンアメリカの食品産業における歴史的瞬間と述べました。

参考記事:
Typcal opens Latin America’s first large-scale mycelium fermentation plant after US$2 million raise | PPTI News
Brazil’s Typcal Inaugurates New Facility for Its Sustainable Mycoprotein
Typcal inaugura 1ª fábrica de micélio na América Latina

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