米Meati Foods、テクニカルデフォルトに伴い生産施設の閉鎖と大量解雇を計画

菌類のバイオマス発酵により代替肉を製造する米国のMeati Foodsが、150名に及ぶ大量解雇の実施を従業員に通達しました。貸し手となっている銀行が、テクニカルデフォルトを理由に利用可能な現金の3分の2を凍結したことが引き金となっています。

銀行の処置により工場閉鎖の可能性


米国では労働者調整・再訓練予告法(WARN)に基づき、フルタイムで働く従業員を100名以上抱える雇用主が大量解雇を行う際は、少なくとも60日前に書面で通知しなければなりません。

AgFunderNews』によると、今月7日にMeati Foodsがこの通知を行い、追加資金を確保できない限りコロラド州ソーントンに構える生産施設「Mega Ranch」の操業を5月6日付で停止し、その時点で150名(固定給60名・時間給90名)全員の雇用を終了するとの発表がありました。

その理由として同社は、「貸し手が予期せず(同社の)口座から現金を引き出し、残りの手元資金を管理下に置いたため、事業を継続できるだけの十分な資金がなくなった」と説明。貸し手の行動は全く予期していなかったもので、これ以上早く通知することが叶わなかったといいます。

前倒しで新たな調達機会を探る


Meati FoodsのCEOを務めるPhil Gravesは、従業員に宛てたメールの中で「完全に予測不可能で、先行き不透明な状況に陥った」と述べました。

2023〜24年にかけて収益がほぼ倍増したにもかかわらず、同社は銀行との間で取り決めていた2024年の収益と売上総利益率に関する財務制限条項に抵触(テクニカルデフォルトと呼ばれる)したとのこと。ただし、支払いはすべて滞りなく行われていたようです。

1月31日、銀行は同社の経営陣と取締役会に対し、現金の引き揚げや支払いの前倒し要求は行わないと確約。7月に設定した期日までに、新たな資金調達ラウンドを完了できるだろうと述べていました。にもかかわらず、2月28日に銀行は何の通知もなく、同社の利用可能な現金の約3分の2を引き出し、混乱の火種に。

Gravesは、「既存の投資家、潜在的な新規投資家の両方にアプローチし、急ぎ資金調達の機会を探る努力を続けている」としています。

順調に小売り展開を拡大し、投資家からも高評価


Meati Foodsは、2022年に年間4,000万ポンド(約18,000トン)の製品を生産できる工場「Mega Ranch」を開設し、製品展開を拡大。

KrogerやWhole Foods Market、Meijerなど7,000店舗で製品を販売するまでになり、昨年5月には1億ドル(約148億円)と巨額の調達を成功させました。

同社の製品はリピート率が常に60%を超え、ロイヤルティの高い顧客基盤を築いていると評価されています。

今年1月には、新製品として菌糸体をベースにした朝食用パティを発売したばかりで、「Crispy Cutlets」は「2025 Men’s Health Food Awards」のベスト・ランチ&ディナー部門で受賞を果たしています。

参考記事:
Breaking: Meati plans “gut-wrenching” mass layoffs amid “bank-induced crisis”
Meati Foods to close Thornton plant, lay off 150 Colorado workers

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