植物性代替卵大手の米Eat Just、Vegan Food Groupとの提携で「JUST Egg」の欧州展開へ

米国のフードテック企業Eat Justが、英国のVegan Food Group(以下、VFG)との提携を実施しました。米国でベストセラーとなっている植物由来の代替卵「JUST Egg」を、欧州市場で展開する計画です。
年内にも商業生産の開始へ
VFGは、緑豆タンパク質をベースとした「JUST Egg」の欧州における独占製造販売権を取得し、EUと英国で同製品を初めて発売することとなりました。
同社は1,125万ポンド(約21億2,000万円)の投資を行い、植物性食品の専用工場としては欧州最大規模というドイツ北部の工場に、完全自動化ラインを建設中。拡張が完了すれば、年間5億個の卵に相当する生産能力となる見込みです。
同社によると、自動化の促進、賞味期限の長期化、廃棄物削減、製品品質の向上を狙って、英国とドイツの工場に投資しているとのこと。「JUST Egg」の商業生産は2025年後半に開始される予定です。
独自の緑豆生産はEat Justが手掛け、米国・ミネソタ州の施設からVFGに直接供給する計画。VFGはその他の原料や包装資材を地元で調達し、全自動の下流工程で製品化を担います。
VFGは、「ヴィーガン界のユニリーバ」を目指す持株会社として、2024年1月に設立されました。Meatless Farm、Clive’s Purely Plants、TOFUTOWNを傘下に収めており、昨年の収益規模は1億ユーロ(約162億円)を超える見通しと報告しています。
長い時間を要した欧州進出戦略
Eat Justの欧州進出は、長い時間をかけて進められてきました。2018年、まだ米国のスーパーマーケットにも並ぶ前から、同社はイタリアの卵サプライヤーEurovoとの製造販売契約に合意。続いて1年後には、ドイツの大手養鶏業者PHW Groupと契約を結び製品発売を予定していました。
しかし、この時点ではまだ新規食品(Novel Food)規制に基づく認可が得られていなかったことから、発売を保留。2022年4月にようやく欧州委員会(EC)からの認可が下りています。
欧州の植物性代替卵市場は年率40%成長し、2031年には38億8,000万ドル(約5,520億円)に達する見通し。競合となり得るのは、Crackd(英国)、Perfeggt(ドイツ)、Vegge(イタリア)などがありますが、VFGは「市場に出回っている代替卵の中でも、品質的にEat Justの製品に勝るものはない」としています。
鶏卵サプライチェーンの破壊に伴い売り上げが急増
Eat Justは昨年、米国で製法の改良を実施。2019年の製品発売以来、味、食感、機能性において最も大きな進歩を遂げたとしていました。新バージョンは、クリーミーで柔らかな食感が強化され、よりすっきりとした風味が特徴となっています。
鳥インフルエンザの流行により従来の鶏卵産業が壊滅的な打撃を受けた結果、鶏卵価格は上昇を続け、3月には小売価格で1ダースあたり6.23ドル(約890円)と過去最高を記録しました。現在米国では、卵1個の値段が1ドルの都市もあるといいます。
そんな中、「JUST Egg」の売り上げは前例を見ないほど急増しており、鶏卵の5倍、同社昨年比でも5倍のスピードで成長しているとのこと。累計すると鶏卵5億個分以上を販売し、代替品市場の99%を獲得してきました。製品をカゴに入れる買い物客の大半(91%)は、ヴィーガンでもベジタリアンでもありません。
この外部環境は欧州でも同じで、卵の価格は少なくとも過去10年間で最高値を記録。先月は100kgあたり268.5ユーロ(キロ単価約430円)に達しました。
VFGの共同創業者であり会長のMatthew Gloverは、「動物性食品の同等カテゴリーと比較して競争力のある価格を目指したい。欧州においても、現在手に入るヴィーガン液卵より安いとはいかないまでも、同等にはするつもりだ」と述べています。
参考記事:
JUST Egg to Launch in Europe Through Major Partnership With VFG
Eat Just to Launch Mung Bean Egg in Europe with Vegan Food Group Deal
Eat Just strikes deal with VFG to take plant-based JUST Egg to Europe
この記事へのコメントはありません。