カーギルが細胞培養チョコレートの開発に着手、EUの支援を受けた研究プロジェクトでKokomodoと提携

食品業界の巨大企業カーギルが、イスラエルのフードテック企業Kokomodoとの提携を発表しました。世界のチョコレート業界が気候変動に伴う供給難に直面する中、EUの資金支援を受けて、細胞ベースのチョコレートの開発を推進します。
市場化に向け、産業規模で機能性を実証
米国最大の非上場企業であるカーギルは、EUの食品イノベーション機関であるEIT Foodのプログラムから一部資金提供を受けて、培養カカオの分野に乗り出しました。
イスラエルのスタートアップ企業Kokomodoとの提携により、さまざまな用途における培養カカオの活用を模索する共同研究を実施。市場投入を加速させるべく、特に機能性の向上、官能特性、スケーラビリティに焦点を当てた評価を行います。
Kokomodoは2024年夏にステルスモードからの脱却を果たし、同年末にはEIT Foodのコンペで2万ユーロ(約366万円)を得ていました。すでに、中南米産の高級カカオ豆に由来する細胞を用いて、ラボスケールでの培養生産に成功。
昨年、同じく細胞農業を手掛けるイスラエル企業のPluriに買収され、Pluriは450万ドル(約6億9,900万円)でKokomodoの株式71%を取得しています。
Kokomodoの共同創業者でCEOを務めるTal Govrinは、「当社のビジョンは常に、カカオを健康効果や機能性だけでなく、より持続可能で将来性のある原料として捉え直し、年間を通じて世界の食料システムを支えることにあった」とコメント。「世界で最も有力な原料メーカーの一社と協力することで、当社の技術を産業規模で実証できる」と述べました。
協業はすでに始動しており、機能性の検証結果は今後数カ月で明らかになる予定。両社は、培養カカオを飲料、乳製品、菓子など複数カテゴリーの製品に組み込む方法を模索します。
チョコレート大手各社が代替品開発に投資
昨年、カカオの在庫は過去10年で最低水準に落ち込み、価格は史上最高値を更新しました。カカオ生産量の上位2カ国、コートジボワールとガーナのプランテーションは、異常気象や作物の病害による深刻な打撃を受けています。
また、チョコレート産業自体も気候変動の主要な要因の一つとなっており、チョコレートの生産は牛肉に次いで温室効果ガス排出量が多く、広範な森林破壊に関連しているとも。さらに、1本のチョコレートバーを製造するのに平均1,700リットルの水が必要です。
カーギルは、品質管理の強化、規制の変化、サプライチェーンの透明性向上の必要性から、チョコレートメーカーが事業運営手法を変えざるを得ない状況に追い込まれていると指摘。
「チョコレートメーカーはもはや単発的な価格高騰に対処しているだけではない。構造的な不確実性が生じている市場で事業を展開するにあたって、長期計画に新たな前提条件が必要となっている」と説明しています。
このような背景があり、培養ココアやビーンレスチョコレートなどの代替品に手を伸ばすチョコレート大手が増加してきました。分野で世界最大のB2Bサプライヤーであるバリーカレボーは、提携を通じて両方の事業機会を模索。ピュラトスやモンデリーズも、代替チョコレートのスタートアップ企業に投資しています。
カーギルも、2024年に米国の代替チョコレートメーカーVoyage Foodsと独占販売契約を結び、世界の菓子メーカー向けに「NextCoa」として製品化。
昨年には、ビューラーグループがスタートアップ企業と業界大手をつなぐ目的で実施した「New Chocolate Challenge」に、業界大手側の1社として参加しました。
参考記事:
Tal Govrin | LinkedIn
Kokomodo and Cargill Partner Through EIT Food to Advance the Future of Sustainable Cacao Ingredients – EIT Food
Cargill Takes A Bite Out of Cell-Based Chocolate with EU-Backed Collaboration
Cargill bets on flexibility as cocoa volatility reshapes the chocolate playbook | PPTI News


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