独FormoがシリーズBラウンドで約86.5億円を調達し、麹を原料に用いた代替チーズの小売り展開を開始
代替チーズを開発するドイツのフードテック企業Formoが、シリーズBラウンドで6,100万ドル(約86億5,000万円)の調達を行ったと発表。同時に、麹を原料に用いた代替チーズを、ドイツとオーストリアの小売店で発売しました。
代替チーズ製造に適した麹タンパク質
同ラウンドには、Foodlabs、EQT Ventures、Lowercarbon Capitalなど既存の顔ぶれに加え、Sazaby League、Seven Ventures、REWE Groupなどが新たに参加。
この資金を得てFormoは、グローバルな事業拡大、製品ポートフォリオの多様化、収益の拡大、2027年までの黒字化などの目標達成に向けて歩を進めます。
同社は、日本で伝統的に味噌や酒づくりの原料として使われてきたニホンコウジカビ(Aspergillus oryzae)を発酵させて、代替チーズを生産。麹のタンパク質は乳清(ホエイ)タンパク質によく似ており、代替チーズの製造に理想的だといいます。
同社のクリームチーズ「Frischhain」は、ドイツとオーストリアの2,000を超えるREWE、BILLA、METROの店舗で小売り販売がスタートしました。
数週間後にはカマンベールチーズ「Camembritz」の発売も予定しており、来年にはブルーチーズとフェタチーズもラインアップに追加する計画です。
健康・環境面のメリット
栄養面を見ると、Frischhainは通常のチーズ(フィラデルフィア・クリームチーズとの比較)よりも脂肪分が多い(100gあたり27.6g 対 21g)ものの、飽和脂肪酸がかなり低く抑えられており(同10.1g 対 14g)、タンパク質含有量も多くなっている(同6.1g 対 5.4g)のが特徴。
また、最高の環境基準を満たしたパートナーに製造を委託しているという、環境面でのメリットも見逃せません。
CarbonCloudがISOに準拠して実施したライフサイクルアセスメントでは、通常のクリームチーズより排出量を65%、土地の利用面積を83%、水使用量を96%削減できるとの結果が得られました。
「最初の製品の発売、環境分析での良好な結果、資金調達の成功など、すべてが上手くいっている。5年間にわたる集中的な研究開発と、情熱的なチームの存在が生み出した成果だ」と、創業者でCEOのRaffael Wohlgensingerは語っています。
精密発酵チーズも来年の製品化を予定
Formoは、2021年にも5,000万ドル(約70億9,000万円)を調達。現在でも月産3桁トンのチーズを生産できますが、来年にはこの生産能力を3倍にする計画で、商業規模の生産に向けた準備を進めています。
また、精密発酵によるアニマルフリーカゼインの開発も以前から進めており、2025年前半にこの原料を用いた「第二世代の」チーズを発売することを視野に入れています。
当初のターゲット市場は、精密発酵原料の認可が遅れている欧州ではなく、米国となる見込み。
今年3月には、ベルギーのThose Vegan Cowboysと開発・生産機能を統合し、スケールメリットにより既存の乳タンパク質と同等の価格を早期に実現する構想を発表しました。
参考記事:
Formo gets investors’ mouths watering with Koji protein-based, animal-free cheese | TechCrunch
Formo Stretches Budget with $61M Series B, Rolls Out Animal-Free Koji Cheese in Supermarkets
Formo Raises $61M, Launches Fermented Cheese Alternatives at 2,000+ Stores
METRO Germany Becomes “First” Wholesaler to Sell Formo Animal-Free Cream Cheese
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