米バイオベンチャーのShiru、AIプラットフォームの活用で代替脂肪の商品化に成功

AIを活用して新規成分の探索を行う米Shiruが、特許取得済みの独自システムを用いて開発した、初の食品原料の商品化を発表しました。

牛脂に近い性質を備えた代替脂肪


最初の製品となるのは、新規の植物性プロテインをベースとした、さまざまな食品に使用可能な代替脂肪の「OleoPro」。OleoProは、一般的に使用されている脂肪と比較して、飽和脂肪酸を最大90%削減。室温で形状を保持でき、加熱調理すると焼き色がつくもので、植物性代替肉にジューシーな口当たりをもたらします。

発売にあたってShiruは、持続可能な食品原料をグローバルに手掛けるGriffith Foodsと提携。今年3月に開催された「Future Food-Tech」カンファレンスで、Nourish Ventures(Griffith Foodsのコーポレート・ベンチャーキャピタル)が開発した植物性チキンの唐揚げにOleoProを使用し、初披露しました。

これが消費者やシェフからの好評を博したことから、両社はOleoProを活用して最高品質の代替プロテイン製品を市場に投入するべく提携に至りました。

開発コスト・期間を抜本的に短縮


ShiruはB2Bの合成生物学企業として、2019年に創業。人工知能(AI)と機械学習を活用したプラットフォーム「Flourish」により、数億のデータベースから高機能で商用化が可能な天然のタンパク質を迅速に特定しています。

植物性代替肉大手のImpossible Foodsで研究開発担当副社長を務め、10年以上にわたってタンパク質の発見プロセスを率いてきたRanjani VaradanがCSO(Chief Scientific Officer:最高科学責任者)に就任したことも、Shiruの開発スピードを加速させています。

今回、OleoProの開発にあたっては、3カ月足らずで1万近い配合の中からスクリーニングを実施。結合して動物性脂肪に特有の成分を形成する、正確な分子を決定しました。

かかったコストは数千万円に上りますが、ここ10年で合成生物学の分野に投資されてきた何千億円という金額に比べれば微々たるもの。分子の特定から商品化までの全工程が、プロジェクト開始からわずか18カ月で完了。今後、機械学習モデルを洗練させ、さらなる期間短縮も可能だといいます。

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