イスラエルのProFuse Technology、48時間で培養肉の成長を可能にする技術開発を発表

イスラエルのバイオテクノロジー企業ProFuse Technologyが、培養肉生産の新時代を画する技術的ブレークスルーを発表しました。

タンパク質生産を効率化する培地サプリメント


ProFuse Technologyは、幹細胞生物学者のTamar Eigler Hirshと現CEOのGuy Nevo Michrowskiにより、2021年に設立。Fresh Start FoodTech Incubatorからの資金提供を受け、イスラエルで開催されたコンペ「FoodTech 2021」で1位の座を獲得しました。昨年9月には、シードラウンドで250万ドル(約3億7,300万円)の資金調達に成功しています。

同社は培養肉を自社で作るのではなく、培地サプリメントを培養肉メーカーに供給。細胞培養を行う培地にサプリメントを添加することで、タンパク質生産を効率化します。

サプリメントはウシ胎児血清(FBS)を用いた培地、無血清培地のどちらでも機能し、最終製品中の残留もごく微量なため検出されません。すでに米国食品医薬品局(FDA)への認可申請を済ませており、昨年8月時点では今年中旬に完了予定としていました。

3次元培養でも技術革新に成功


ワイツマン科学研究所(Weizmann Institute of Science)の研究に基づく同社の技術は、培養時間の短縮、収量の増加、品質向上、コスト削減のソリューションを提供するもの。

筋形成の2つの異なる段階で作用する生化学的なシグナル伝達経路を活性化させる技術で、特許出願を実施。この画期的な技術革新により、肉本来の味と食感により近い、完全に成熟した筋組織の開発が可能になるといいます。

これまでに2次元培養でのみ成果を上げていましたが、新たに足場を用いた3次元培養技術でも同様の効果を得ることが可能に。これにより、筋組織の成長を48時間以内に済ませ、生産に要する時間を80%短縮できると主張しています。

さらに、遺伝子組み換え技術を利用することもなく、筋組織のタンパク質含有量が従来の手法の5倍に増加するとのこと。

培養肉セクターのエコシステム形成に寄与


ProFuse Technologyのように、細胞農業界でB2Bの製品・サービスを提供する企業も徐々に増加が見られます。同じイスラエルのEver After Foodsは、バイオリアクターの技術改良により培養肉メーカーの生産性向上を支援。英Multusは、世界初の培地専用工場の建設を進めています。

また、培地の再利用を促進する英CellRevのような企業も。通常は細胞から分泌された毒素が培地を汚染するため、培地の再利用は行われませんが、同社ではろ過技術を有する米Saint-Gobain Life Sciencesとの協働により、毒素を取り除く手法の確立を目指しています。

そのほかにも、細胞株の開発や成形技術の研究など、周辺領域を含めたエコシステムが形成されつつあります。

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