微細藻類のタンパク質原料を開発する仏Edoniaが、プレシードラウンドで約3.4億円を調達
微細藻類をベースとしたタンパク質原料を開発するフランスのEdoniaが、プレシードラウンドで200万ユーロ(約3億3,700万円)の調達を行ったと発表しました。
フランスの大手インパクト投資ファンドAsterion Venturesがリードインベスターとなり、公的投資銀行のBpifranceが参加しています。
ひき肉の食感とうま味を再現
パリ=サクレー大学の研究機関AgroParisTech Innovationに所属するPierre Mignon、Hugo Valentin、Nicolas Irlingerの3名が2023年に立ち上げたEdoniaは、次世代の植物性食品に用いるクリーンラベル原料の開発を目指してきました。
同社のチームは、緑色をした微細藻類(スピルリナおよびクロレラ)のバイオマスを、褐色でうま味を持った原料へと変える「Edonization」と呼ばれるプロセスを確立。藻類を用いた食品で、特徴的な味が残ってしまう問題を解決しました。
こうして得られた製品は、30%のタンパク質を含んでおり、香料や食感改良剤を一切使用せずに、ひき肉のような食感と焼いた際のうま味を再現できるとのこと。
AgroParisTech Innovationと共同で実施したライフサイクルアセスメントでは、ひき肉に比べてCO₂排出量を40分の1、大豆と比べても3分の1削減でき、持続可能性も非常に高いという結果が出ています。
同社はまず欧州で製品を発売し、その後戦略的パートナーシップを通じてほかの地域に拡大する計画。原料として用いるスピルリナとクロレラは、いずれも新規食品(Novel Food)とはみなされないため、製品をより早く市場に投入することが可能です。
藻類の風味改善を目指す研究が進む
微細藻類を代替タンパク源として活用する動きは近年強まっており、イスラエルのSimpliiGoodやニュージーランドのNewFishなどが、スピルリナを使って肉や魚の代替品を開発。ポルトガルのGreenCoLabは先日、クロレラなどをベースとしたキャビアとビールの試作品を発表しました。
デンマークでは、コペンハーゲン大学の科学者たちがシアノバクテリア(藍藻)を使ってタンパク質を生産する方法を発見しています。ここでは、精密発酵と同じように藍藻に外来遺伝子を導入し、細い糸(ナノファイバー)状のタンパク質を生産させるという手法が採られました。
また、藻類を用いる際のほぼ唯一のデメリットとなっている「味」の改善についても研究が進み、昨年10月にはドイツ・ホーエンハイム大学のチームが、特徴的な味の原因となる化合物を分解する発酵プロセスを開発。
キノコを使って好ましくない化合物を効果的に取り除くことができていましたが、有用な栄養素も一部分解してしまうため、さらなる改良が必要とされています。
英国では、Natural Resources Institute(NRI)、インペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)、バイオリアクター技術を有するスタートアップ企業のArboreaが共同で、微細藻類タンパク質の風味改善に着手。前述の好ましくない化合物を特定し、生育条件や抽出方法を変えることでこれを変化させられるかどうかの検討を行います。
参考記事:
Edonia grabs €2M to turn microalgae into less bitter-tasting ground meat alternative | TechCrunch
Paris-based Edonia raises €2 million to produce plant-based ingredients from microalgae | EU-Startups
Edonia Raises €2M to Redefine Plant-Based Alternatives with Umami-Powered Ingredients from Microalgae
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