菌糸体ベース代替肉を手掛けるInfinite Roots、Pulmuoneとの提携により韓国で小売り販売をスタート
ドイツ・ハンブルクに本社を置くInfinite Rootsが、韓国の植物性食品メーカーPulmuone(プルムウォン)と共同開発した、菌糸体ベース代替肉製品の小売り販売開始を発表しました。
初の製品展開が実現
Pulmuoneは、CJ CheilJedang、Daesang Corporationと並ぶ韓国の3大食品メーカーの一つ。この戦略的提携は、韓国の消費者の嗜好に合わせた、栄養価が高く持続可能なクリーンラベルのタンパク質製品を市場投入することを目的に、今年初めに開始されました。
Infinite Rootsの技術と生産能力、Pulmuoneの韓国市場におけるブランド力を活用することで、食品生産における菌糸体の可能性を解き放つことを目指しています。
これにより誕生した最初の製品は、菌糸体ベースのハンバーグとミートボールで、Pulmuoneが2021年に立ち上げた「Earth Diet」シリーズから発売されました。
動物由来の原料を使用せず、菌糸体と通常のキノコを組み合わせたもので、「キノコを使ったアジア料理に慣れ親しんでいる消費者に響く、豊かなうま味を生み出している」といいます。
規制上のハードルからアジア市場にシフト
Infinite Rootsは、菌糸体の市場化を巡って、本国ドイツで規制上のハードルに直面しました。菌糸体は、EUでは新規食品(Novel Food)に該当するようで、協議を進めているものの、いまだ必要な認可が得られていません。
一方、規制システムの異なる韓国では菌糸体も子実体も同じキノコに分類され、同社はスーパーマーケットで購入できるような一般的なキノコの菌糸体のみを使用していることからも、安全性の懸念はないとされているとのこと(それでも承認前には独自の審査が行われた様子)。
こうした経緯から、EUへの導入に先立ち、韓国での製品化が実現することとなりました。同社は、米国でもすでにGRAS(Generally Recognized as Safe)自己認証を取得し、販売が可能な状態。正式な「FDA GRAS」の取得に向け、米国食品医薬品局(FDA)への通知も済ませています。
アップサイクル原料の活用による効率性向上
Mazen RizkとCathy Hutzが2018年に共同で創業したInfinite Rootsは今年初め、各国の業界大手が参加したシリーズBラウンドで5,800万ドル(約87億円)を調達。欧州の菌糸体企業としては過去最大規模の資金を得て、発酵プラットフォームの拡大を進めてきました。
同社のバイオマス発酵プラットフォームは、食用キノコの菌株に醸造から出た穀物粕を餌として与え、菌糸体を育ててタンパク質原料とするもの。
この菌糸体は、食品業界の主役となる大きな可能性を秘めた、多用途で栄養価の高い完全タンパク質とされており、プレバイオティクス繊維、ビタミンBおよびD、カリウム、カルシウム、マグネシウム、抗酸化物質、その他の生物活性化合物が含まれています。
同社によると、菌糸体の生産は、肉用牛と比べてタンパク質1kgあたりの土地利用効率が500倍、水消費効率が200倍高いとのこと。さらに、植物由来の原料として一般的な大豆と比べた場合でも30倍効率的といい、「環境問題の解決に寄与する可能性」が強調されています。
参考記事:
Infinite Roots Brings Mycelium-Based Meat to South Korea Via Pulmuone After Hitting Regulatory Roadblock in EU
https://www.greenqueen.com.hk/infinite-roots-pulmuone-mycelium-meat-earth-diet-south-korea/
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