仏Bon Vivantが精密発酵ホエイのGRAS自己認証を実施、米国での販売が可能に

精密発酵を専門とするフランスのBon Vivantが、乳清タンパク質の一種β-ラクトグロブリン(BLG)について、米国におけるGRAS(Generally Recognized as Safe:一般に安全と認められる)ステータスの自己認証を行ったと発表しました。

すでに米国食品医薬品局(FDA)への正式な通知も済ませています。

2026年までの市場化を目指す


自己認証により、Bon Vivantが生産するアニマルフリーのβ-ラクトグロブリン成分が、FDAが定めるGRASの定義に適合し、摂取しても安全であることが確認されました。

米国内ではこの時点で販売が可能となり、FDAから直接の審査を受ける必要はありませんが、同社は消費者と市場の信頼をさらに高めるべく、多くの企業と同様にFDAへの通知を選択。

FDAでの審査は6〜9カ月ほどはかかるものとされていますが、今年中にはFDAから「異議なし」のレターが届き、正式な認可が得られる見込みです。

共同創業者でCEOのStéphane Mac Millanは、「技術をスケールアップしさらに洗練させて、2026年までに精密発酵タンパク質を使用した製品を米国市場に投入したい」とコメントしています。

機能性・環境面で大きなメリット


牛乳に含まれる乳清タンパク質の約50%を占めるβ-ラクトグロブリンは、ゲル化・起泡・乳化特性を持ち、さまざまな食品・飲料の口当たりや食感を改善するとされる物質。

ほかの大半のタンパク質より栄養的に優れ、例えば必須アミノ酸の中でも筋肉の合成に重要な役割を果たすロイシンは、市販の分離ホエイタンパク質よりも45%多く含まれています。

また、環境面でも多くのメリットを持ち、昨年実施した査読付きライフサイクルアセスメントでは、温室効果ガス排出量が72%、水の消費量が81%、農地の利用面積が99%削減されることが分かりました。

β-ラクトグロブリンは、精密発酵の分野では最も開発の盛んな成分であり、これまでに米国のPerfect Day、イスラエルのRemilkImagindairy、オランダのVivici、デンマークの21st.BIOが米国での販売を認められています。

Bon Vivantは2023年にシードラウンドで1,500万ユーロ(約24億3,000万円)調達。B2Bの原料サプライヤーとして、昨年は異なる市場で3社との提携を実現させました。現在は、さらなるパートナー候補との話し合いを進めている最中です。

参考記事:
Bon Vivant Secures GRAS Status for Precision-Fermented Whey Protein, Targets US Market Expansion
French Startup Cleared to Sell Animal-Free Whey Protein in the US

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