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デンマーク技術研究所が、宇宙ステーションで行うクロレラ培養試験の計画を発表、宇宙における食料生産の課題解決へ

デンマーク技術研究所(Teknologisk Institut)が、2025年4月に微細藻類の一種、クロレラを宇宙に送り出すという画期的なミッションを行う計画を発表しました。

将来的に、宇宙飛行士がタンパク質を豊富に含む微細藻類を自身で培養することで、長期の宇宙ミッションにおける栄養ニーズの問題を解決できる可能性があります。

宇宙 × バイオテクノロジーの可能性


Sophonster」と名付けられたこのプロジェクトは、デンマーク技術研究所、微細藻類を専門とするオランダのスタートアップ企業Sophie’s BioNutrients、そして宇宙におけるバイオテクノロジーの実装を目指すドイツのYuri Gravityが参加する共同研究として、欧州宇宙機関(ESA)からの資金提供を受けて実施されてきました。

Sophie’s BioNutrientsが藻類株、Yuri Gravityが培養タンクをそれぞれ供給する役割を担い、無重力状態や宇宙線が存在する特殊な条件下で、藻類を育てることの実現可能性を探るのが目的です。

この試みは、急成長を見せている「宇宙バイオテクノロジー(space biotechnology)」分野に属するものですが、その主眼は、食料生産や酸素の生成、廃棄物管理における植物や微生物の活用を進め、地球外で人間の生活を支えるシステムを開発すること。

宇宙での実験から得られた知見は、その後地球上でも応用でき、食料生産、医療、環境保護などの技術の進歩につながると期待されています。

食料生産のほか、排水処理や燃料としての活用も


微細藻類、中でもクロレラは、その卓越したタンパク質生産能力で知られています。クロレラの培養には最小限の光、水、CO₂があればよく、大豆のような伝統的な作物に比べて単位面積あたり約20倍のタンパク質を得ることが可能。

また、宇宙飛行士が吐く息に含まれるCO₂を利用する光合成によって排水の処理・再利用を実現したり、バイオ燃料として活用したりといった用途も。培養は垂直式やチューブ式の設備で行えるため、農地のない宇宙船内でも問題ありません。

デンマーク技術研究所に勤める微細藻類の専門家Nikola Medicは、「宇宙で藻類を培養することにより、タンパク質生産を最適化できるというのが研究で分かってきている。さらには、培養条件を変えれば、藻類の細胞壁の構造を変化させられ、タンパク質やその他の栄養素の抽出を容易にできるかもしれない」と、本研究の可能性を強調しました。

人類が宇宙へ進出していく上で、地球の資源に依存せずに食料を生産する能力は欠かせません。微細藻類は、高い収量が得られること最小限の資源しか必要としないことさまざまな環境に適応できることから有望な解決策として期待されており、宇宙での実地試験は重要な一歩となるでしょう。

4月に実施される国際宇宙ステーション(ISS)への打ち上げの様子は、ライブ配信が行われる予定です。

参考記事:
Mikroalger på rumrejse: Kan astronauter dyrke protein i vægtløs tilstand? – Teknologisk Institut
Sophie’s BioNutrients | LinkedIn
Danish Technological Institute to test protein-rich microalgae cultivation in space | PPTI News

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