Planetaryのマイコプロテインを用いた鶏胸肉、従来の肉製品と同等の価格で小売り販売がスタート

Planetaryマイコプロテインを使用したチキンフィレが、スイスのディスカウント小売りチェーンALDI SUISSEで発売されました。そのほかにも複数の提携プロジェクトが進行中で、パートナー企業向けの製品開発を進めています。

従来品と同等価格のクリーンラベル製品が誕生


ALDI SUISSEは、Planetaryのマイコプロテイン「Libre」に卵白、ヒマワリ油、天然香料を組み合わせて、4種類の原料しか使用していないクリーンラベル製品を実現。

ベジタリアン向けに展開するミートフリーの自社ブランド「MyVay」のラインアップに加え、スイス国内の242店舗で発売しました。

210gで4.99スイス・フラン(約920円)、または1kgで22.7スイス・フラン(約4,200円)という価格設定は、ALDI SUISSEで以前から販売されているチキンフィレと同程度。1枚(105g)あたり18gのタンパク質と7gの食物繊維を摂取でき、飽和脂肪酸は0.5gしか含んでいません。

Planetaryは、先月スペインのスタートアップ企業Libre Foods買収してブランドや商業契約、菌糸体タンパク質に関連する知的財産権を取得しており、新製品はその資産の初の活用例となります。

共同創業者でCEOのDavid Brandesによると、買収理由は「現在の生産能力と商業戦略とのシナジーを創出するため」。小売業と食品業界のパートナーに向けたB2Bマーケティング専用に、「Libre」の商標を活用するとしています。

今回の製品は卵白を使用しているためベジタリアン向けですが、Planetaryは2種類の植物由来の結合剤を使用したヴィーガン仕様の製品も開発済み。別の食品業界のパートナーと協力して、近日中に発売する計画です。

国際的な評価を得てパートナーシップの拡大へ


「Libre」の生産には、アップサイクルした原料と高性能な菌株を活用することで、業界トップクラスのバイオマス収量を実現。

Libre Foodsはこれまで、ヒラタケを用いたベーコンを欧州で展開してきました。2023年には菌糸体ベースのホールカット鶏胸肉を初めて披露しましたが、すぐには製品化に至らず、今回念願の発売にこぎ着けています。

スイス国内の大規模工場で作られたマイコプロテインが製品全体の93%を占めており、やや固さを加えるため卵白を配合したとのこと。天然香料とヒマワリ油が、ジューシーで肉感のある味わいを引き立てます。

ALDI SUISSEとの提携は、同社がフードシステムの改革を目指す非営利組織のSwiss Food & Nutrition Valley(SFNV)と共同で運営する、「Retail Shelf」プラットフォームでの成功がきっかけでした。

このプラットフォームは、食品イノベーターが自社製品を提案し、小売店の棚に並べる機会を提供するもの。マイコプロテインの優れた味に加えて、短く自然な原材料リストが採用の決め手となった様子です。

Planetaryはまた、乳製品フリーのミルクやチーズにマイコプロテインを活用するというアプローチが評価され、ドイツの小売り大手LidlProVeg Incubatorが主催する代替チーズのコンテストで最終候補に選出されています。

さらに先日、世界知的所有権機関(WIPO)の「Global Awards 2025」でも受賞企業10社のうちに選ばれました。ここでは、知的財産を戦略的に活用して持続可能性の課題に対処し、スケーラブルな産業発酵における画期的な成果を上げたことが評価されたといいます。

参考記事:
planetary scales B2B ingredient sales as ALDI Suisse selects Libre® mycoprotein for product launch | Swiss Food & Nutrition Valley
Aldi Suisse Unveils Clean-Label Mycoprotein Chicken Filet at Price Parity with Meat
Planetary’s mycoprotein makes Swiss retail debut as ALDI Suisse launches MyVay Gourmet Filet | PPTI News

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